今後の研究の推進方策 |
増殖抑制能の高いCTL反応が起こると、HIV-1はエピトープ内で変異を起こしてCTLが感染細胞を認識できなくなり、変異したウイルスが体内に蓄積することが知られている(Goulder PJ, et al, Nat Med, 1997, 3:212)。そこで、日本人HIV-1感染者において同定したエピトープ内のアミノ酸シークエンスを調査し、HLA拘束分子を持つ人と持たない人の間でエピトープ内変異の頻度について統計解析を行う。HLA拘束分子を持つ人において有意に高い頻度の変異が見つかった場合、変異エピトープペプチドの作製を行い、コンセンサスあるいは変異エピトープペプチドを段階希釈して結合させたC1R細胞に対するエピトープ特異的CTLクローンのIFN-γ産生能を細胞内染色法で検出することで、それぞれの間で抗原認識能に差があるかを明らかにし、変異がCTLによって選択された逃避変異であるか判断する。逃避変異はHIV-1の増殖機能に影響を与え、また、そのような変異ウイルスがその変異に関わるHLAアリルを持たない人に感染した場合、コンセンサス配列のウイルスに戻ることが知られている(Leslie AJ, et al, Nat Med, 2004, 10:282)。そこで、逃避変異が見つかった場合、変異ウイルスを作製し、これらを健常人から分離したCD4T細胞に感染させ、コンセンサス配列ウイルスとの増殖能の比較を行う。
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