研究課題
アフリカ、欧米のHIV-1感染者では、HIV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)のコホート解析の結果から、Gagタンパク質に対する反応がHIV-1の増殖抑制に大きく影響することが知られているが、日本ではこのような網羅的なHIV-1特異的CTL応答の解析が行われていない。そこで本研究では、白人や黒人のエイズ進行遅延と強く関係しているHLA-B*57およびHLA-B*27がほとんど見られない日本人HIV-1感染者401人について、HIV-1特異的CD8陽性T細胞の反応を網羅的に解析することで、HIV-1コントロールに関与するCD8陽性T細胞の同定を試みた。その結果、平成25年度において、5種類のHLA(HLA-B*52:01、-B*67:01、-A*02:06、-B*40:02、-B*40:06)に拘束される13個のCTLエピトープに特異的なCTLが低い血漿中ウイルス量ならびに高いCD4陽性T細胞数と強く相関していることが明らかとなった。平成26年度では、どのHLA拘束性のエピトープ特異的CTLが日本人感染者においてHIV-1コントロールに強く関与しているか明らかにするため、それぞれのHLAに拘束されるCTL反応と血漿中ウイルス量の関係について調べた。その結果、HLA-B*52:01拘束性およびHLA-B*67:01拘束性のCTLが低いウイルス量と強く関連していることが判明した。さらに、13個のCTLエピトープのアミノ酸シークエンスについて解析した結果、9個のエピトープはclade B感染者において保存されていることが判明した。また、4個の保存されていないエピトープのうち3個のエピトープは特異的T細胞にcross-recognitionされることが明らかとなった。以上の結果、これら12個のエピトープはAIDSワクチンの抗原としてきわめて有用であることが示唆された。
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Journal of Virology
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JVI.00020-15
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