研究課題
若手研究(B)
マウス皮膚化学発がんをおこなった。表皮特異的にアンジオポエチン様因子2を過剰発現させたトランスジェニック (K14-Angptl2 Tg) マウス、野生型マウス、アンジオポエチン様因子2ノックアウト (Angptl2 KO) マウスを用いて検討した。それぞれの遺伝子群に抗酸化剤を含んだ水を与える群と通常の水を与える群にわけて飼育した。それぞれのマウス群における化学発がんの経過を詳細に観察することで、その違いを称しアに検討した。その結果いずれの群においても有意に抗酸化剤を与えた群において化学発がんの発生が遅延し、発症数も減少することを確認した。つぎに、発がんのメカニズムを検討するために酸化ストレスの程度を確認した。すると、K14-Angptl2 Tgマウスは野生型にくらべ著明な酸化ストレスの蓄積をみとめ、Angptl2 KOマウスは野生型と比較して酸化ストレスが軽減していた。それらの影響がマウスにおける遺伝子不安定性をもたらしていると考え、がん抑制遺伝子、遺伝子修復機構の変化をそれぞれのマウス群についえ検討した。その結果、K14-Angptl2 Tgマウスは野生型にくらべ遺伝子修復機構の一つであるミスマッチ修復機構のMsh2の発現について低下を認めた。反対にAngptl2 KOではその発現が上昇していた。さらに、その発現の変化の原因がMsh2遺伝子のプロモーター領域のメチル化によるものである可能性を見出している。
2: おおむね順調に進展している
本研究の課題の中心であるアンジオポエチン様因子2について、発現過剰マウス、野生型、ノックアウトマウスと3種類の遺伝子型を活用できたことが本研究の順調な進展に益している。
今後は発がんメカニズム機構の解明を進めつつ、がんのもう一つの大きな問題である転移に関するメカニズムの解析についても望んでいく予定である。K14-Angptl2 Tgマウス、野生型、Angptl2 KO マウスについておこなった化学発がんの結果おきた転移についても検討し、その差異を見出し詳細を解析する予定である。さらに、マウス化学発がんモデルで得た結果が、ヒトのがん組織について当てはまるかも確認していく予定である。
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