研究課題/領域番号 |
25870556
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
北原 弘基 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 助教 (50397650)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | すべり変形 / 双晶 / c/a比 |
研究概要 |
初期方位の異なる純Mg単結晶を2種類準備した。それぞれの方位は、Mgの底面がせん断面と平行(試験片A)および垂直(試験片B)である。これらの2種類の純Mg単結晶に対して、573KでECAP(equal channel angular pressing)を施し、その変形過程を調査した結果、以下の結果が得られた。 試験片Aでは、試験片の中部で双晶が発生した。観察された双晶は、室温と473Kにおいて報告されているものと、同様の{1012}双晶であった。押し込み量の増加により、試験片上部のみにおいて、大きな{1012}双晶が発生した。また、直線的に配列した結晶粒が観察され、双晶内で再結晶が生じることが明らかとなった。 試験片Bでは、試験片Aでも観察されたように、試料の上部で双晶が発生していたが、試料下部では大きな方位の変化はなかった。さらに押しこみ量を増加させても、双晶による方位変化はなかったが、試験片下部ではすべり変形をしていることが分かった。さらに押し進めると、結晶粒が観察されました。したがって、試験片Bでも試験片Aと同じように双晶内で再結晶していることが分かった。また、これらの方位変化はせん断面の上部で発生していることが分かった。 両試験片において、高温でECAPを施した結果、{10-12}双晶と底面すべりによる結晶方位の変化が観察された。また、初期方位が異なるにも関わらず、最終方位のc軸は押込方向に回転することが明らかとなった。この結果はMg多結晶体のECAPによる集合組織と同じ方位であることが分かった。 申請者が過去に室温で行ったECAPの試験と比較すると、高温ECAPの試験により導入された双晶の量は、室温ECAPの時と比べ、大きく減少していた。これは、高温で試験を施したため、底面すべりを含むすべり変形が起きやすくなり、すべりによる結晶回転が起きたためだと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度においては、Mg単結晶のECAPを573Kで実施し、またその変形過程を調査することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、初年度のMg単結晶に加え、同じHCP金属である亜鉛単結晶を用いて、ECAP変形の実験を行い、c/aの違いによるHCP金属のECAPに伴う変形挙動を明らかにしていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
申請時の備品購入には、金額が不足していたこと。また、既存の設備による部品加工、試料の準備が可能であり、その部品購入費や加工費等を計上せずに済んだため。 今後は、亜鉛単結晶の作製を行い、その研究を開始するが、その単結晶作製においては、試料の高純度化が必須であり、その精製機器の作製費に使用する予定である。
|