研究課題
若手研究(B)
本年度は、本研究の土台を構築するために関連する既存研究の整理を行うとともに、次年度の分析に用いるベースモデルの構築と初歩的な分析を行った。具体的には、独占的競争モデルを用いて、患者が地域を超えて医療を受ける場合における2地域の医療需要を消費者の効用最大化行動から導出した。そして各地域の医療需要に基づいて、医師が地域間移動を行うようなモデルを構築した。このモデルを基に現時点で以下のことが明らかになった。(なお、この成果は、大分大学のワーキングペーパーとして公表した。)特定地域に対する医療支援が行われない限り、人口の多い地域の方が人口の少ない地域より人口あたり医師数は多くなり、医師一人あたり労働時間は短くなることが明らかになった。つまり、過疎地域の医師数は人口比の面のみならず供給面からも不足することが経済構造上避けられないということである。そして、遠隔地医療の発達や医療の専門細分化がさらにこのことを助長させていることも明らかになった。故に、過疎地域に対する医療の経済支援が以前よりも一層求められることが分かった。これら結果は直感として現在の日本医療の現状に符合しているので、本年度で構築したモデルは有効だと思われる。そこで、次年度では、このモデルを用いることで、過疎地域のに対する医療の経済支援により過疎地域の医師不足をどの程度解消できるのかを明らかにする。また、それが患者の効用の面からみてどの程度改善されるかも明らかにしたい。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画の通り平成25年度中に研究の土台となる経済モデルを構築できたので、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
平成26年度は本年度で構築したモデルを基に過疎地域のに対する医療の経済支援が過疎地域の医師不足をどの程度解消できるのかを明らかにする。また、それが患者の効用の面からみてどの程度改善されるかも明らかにする。
書籍や研究資材の購入額が当初見積額よりも下回ったため。研究発表の為の旅費に充てる計画である。
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Working Paper Series, Faculty of Economics, Oita University
巻: 15 ページ: 1-7