研究課題/領域番号 |
25870559
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
相浦 洋志 大分大学, 経済学部, 准教授 (50511177)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療経済 / 地域科学 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に明らかになった研究成果を日本経済学会2014年度秋季大会や早稲田大学商学部金曜セミナーで発表することにより、ベースモデルの改善点や今後の展望について議論・検討を行った。この2回の研究発表で、シンプルなモデルで医師の偏在を説明できるところが評価されたが、それと同時に今後研究を進めるための課題点が明らかになり、次年度はこの課題点の克服にあたると共に国際的な学術雑誌に掲載されるよう論文の質を高めていく予定である。 具体的な課題点は以下の通りである。一番の大きな課題は、医師の労働による効用がモデルに含まれていないことである。現時点におけるモデルでは医師は財・サービスの消費のみにより効用が得られると仮定している。しかしながら、医師の効用は自身の労働によっても影響を受ける。医療は労働集約型のサービスであり、医師の仕事量が増えるほど余暇が少なくなり効用が下がると考えられる。また、多くの医師は自分の医療スキルを高められるような環境を望む傾向があることが知られている。従って、これらの要因を医師の効用関数に組み込む必要がある。次いで大きな課題として、医師の偏在を解消するために地域間の所得再配分をどの程度おこなえば良いのかということが挙げられる。現時点では診療報酬の増加が医師の偏在をある程度改善できることまでしか示されておらず、さらなる改善のためには、過疎地域への補助金が必要である。その補助金がどの程度であれば良いのかを分析する必要がある。これらの課題を次年度に克服していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた医療経済学の理論研究を行う世界的な研究者らが集まるワークショップに参加できなかったため、本研究のベースモデルの検討に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
医療経済学の理論研究を行う世界的な研究者が在籍する大学に客員研究員として半年間在籍し、その研究者と議論を重ねることで、遅れを取り戻す計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については、書籍や研究資材額が当初見込額よりも下回った為に生じた。また、旅費については、当初計画していた国際ワークショップでの研究発表が主催者から認められず、渡航の必要がなくなった為に生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
海外研究者との共同研究の為の旅費に充てる計画である。
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