研究課題/領域番号 |
25870561
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
都甲 由紀子 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (40586195)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ブータン / 天然染料 / 染織 / 衣生活文化 / 衣服材料生産 / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、ブータンにおける衣生活文化の保護と衣服材料生産に関する伝統知識を解明し、ブータンのみの調査に終始せず、照葉樹林文化圏の雲南省、日本における伝統染織や衣生活文化との関連性についても明らかにし、広域的に考察することを最終的な目的として実施している。 平成25年9月22日~平成25年10月4日、ブータン王国ペマガッツェル、ランジュン 、ヤディ、トンサ、 ティンプー 、パロにおいて現地調査を行った。ブータン王国の国民の衣生活・染織調査、染織材料となる動植物の生態調査を行った。 国民の民族衣装着用を義務としているブータン政府により行われている衣生活文化を保護していくための実践について調査するため、ブータン人の普段着や寺院などを訪れる人々の正装を観察するとともに、Royal textile Academyを訪問して資料を収集した。 伝統的な衣服材料資源の生産に関する調査については、絹の入手方法についての聞き取り調査や、天然染料資源となるラックカイガラムシの養殖や植物の栽培・生育状況について、養殖・栽培をしている農家を訪ねて聞き取り調査をし、養殖・栽培の様子を見学した。綿の産地であるペマガッツェルでは現在でも栽培から紡糸・染織まで一貫して行って、人の手で綿布を製造していることを確認することができた。 伝統的な衣料材料資源の利用技術に関しては、主に天然染料による染色方法を調査した。ラックによる絹の染色、ラックとアカネによる羊毛の重ね染め、現地で「ジュグジュルメ」と呼ばれている植物と泥による黒染めの様子を見学した。ラックによる染色方法として、以前の調査で情報を得た加熱染色法とは異なり、長時間常温の染色液に浸しておく方法やアカネと重ね染めする方法についての新しい知見を得ることができた。染色糸は持ち帰り、測色した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、平成25年度秋にフィールド調査を行った。 ブータン政府による衣生活文化を保護していくための実践に関する調査については、資料収集をすることができ、現在文献調査を進めているところである。伝統的な衣料材料資源の生産に関しては、予定通りラックの生産について情報収集をすることができた。また、ペマガッツェルの綿織物生産の存在を確認した。伝統的な衣料材料資源の利用技術に関しては、現地でラックをはじめとした天然染料による染色方法の知見を得ることができ、染色糸を持ち帰って測色することができた。本年度、ブータンに関連する講演の依頼を受け、3件の講演を行うこともでき、1年目の達成度としては適当であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目となる平成26年度は、収集した情報を整理し、文献調査を進める。台湾で行われる2014 International Symposium and Exhibition on Natural Dyes (ISEND) & World Eco-Fiber and Textile Forum (WEFT)においてペマガッツェルの綿織物についてのポスター発表をする予定である。 研究費に関しては、台湾における上記シンポジウム参加費とその旅費、研究協力者との打ち合わせのための東京出張旅費、メインとなるブータン調査関連費用として使用予定である。
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