接触予防策強化と抗菌薬適正使用による感染対策開始により、整形外科領域MRSA SSI発生率は減少した。菌株の多くはSCCmec II型が半数を占め、他の型と比較し感染由来の比率が高かった。またパルスフィールド電気泳動法により院内伝播を評価したが、伝播菌株の大半はSCCmec II型であった。鼻腔保菌者の発症例の約半数は鼻腔株と創部検出株が同一遺伝子型であったが、除菌例で異なる遺伝子型がみられた。MRSAは遺伝子型により伝播要因が異なり、伝播予防策、周術期抗菌薬適正使用は感染対策上有効であった。今後特にSCCmec型等の遺伝子タイピングを組み合わせた伝播予防策の強化が有用な可能性が示唆された。
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