本研究では、細根特性の観点から、熱帯林を構成する樹種の土壌環境への適応メカニズムを明らかにすることを目的とした。マレーシアのパソ森林保護区において、Macaranga属5種とShorea属8種の生育環境を測定し、細根の形態を観察した。その結果、光や土壌水分については樹種間で生存に必要な資源量が異なるものの、土壌養分については生存に必要な資源量が樹種間で異なる属とそうでない属が存在することを確認した。また、細根の形態については、Macaranga属において樹種間で根端の形態が異なることを明らかにした。生育環境と細根形態を比較すると、むしろ光環境の方が細根形態と関係している可能性が示された。
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