研究課題/領域番号 |
25870570
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
赤木 康宏 鹿児島大学, 理工学研究科, 特任准教授 (90451989)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 微表情 / 顔画像 / 認識 / 3次元形状 / 点群処理 / 特徴抽出 |
研究概要 |
本研究は次の3項目の目的から構成されている。(1)顔の動きを高精度に追跡するための手法‐微表情の検出を目的とした場合、数mmオーダーの形状変化を捉える必要があるので、本追跡手法は1mm以下の精度で変形を追跡できる手法の確立を目指す。(2) 一般表情と微表情の分離手法-(1)の手法により取得した顔の動きから一般表情と微表情の分離を行う手法を構築する。(3) 微表情の発現と心理状態の相関関係を分析-微表情に相当する動きの発現位置・強度を数値化し、90%以上の精度で心理的不安定状態を推定するシステムの実装を目指す。25年度の計画では、このうち(1)および(2)を実施するとともに、(3)を実現するための予備実験として、個人の表情を撮影したデータベースを構築することを計画していた。 (1)については、ハイスピードカメラを用いた撮影およびKinectを用いた撮影データから、3次元形状特徴の1つであるFast Point Feature Histogramsを算出するシステムを構築し、顔の時系列データから特徴を抽出することが可能となった。このシステムを用いて、被微表情の発言が期待される単語の読み上げ実験を実施し、420単語分の発話時の表情変化データを収集し、単語の既知/未知性に関するラベル付けを行った。これらデータに基づき、研究目的(2)を達成するための、機械学習の1手法であるLocal Deep Kernel Learningによる識別システムを構築した。本識別システムにより、微表情の発生を70%以上の精度で識別することに成功し、成果を国内研究会での発表および国際会議への投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「(1)顔の動きを高精度に追跡するための手法」については、表情変化を撮影、および撮影結果から3次元形状特徴を抽出するためのシステムを構築し、被験者実験を実施できる段階に到達できた。 「(2)一般表情と微表情の分離手法」については、構築した発話時の表情データベースを用いた特徴抽出を実施し、70%以上の精度で微表情と考えられる変化を捉えることに成功している。また、微表情の表れやすい部位についても特定し、研究報告を行うことができた。 26年度に行う予定である、「(3)微表情に相当する動きの発現位置・強度を数値化し、90%以上の精度で心理的不安定状態を推定するシステムの実装」については、25年度の成果を基に、精度向上のための顔の特徴抽出手法の改善、および、表情データベースの拡充を行うことで、実現可能だと考えている。 以上のことから、表情変化を計測し、特徴を抽出し、学習により微表情を識別するための一連の手法は構築済みであり、今後は微表情認識の精度向上を目指す段階にあることから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の研究計画である、「一般表情と微表情の分離」および「微表情と心理状態の関係解明」を実現するために、今後は微表情認識の精度向上を目指すための、被験者実験の拡充および、顔の運動特徴抽出手法の改善を行う。 「一般表情と微表情の分離」では、25年度に構築した微表情の学習手法であるLocal Deep Kernel Learningに基づく手法を発展させ、隠れマルコフモデルに基づく状態遷移を考慮に入れた微表情の認識システムを構築する。これにより、微表情の認識率向上が期待できる。 「微表情と心理状態の関係解明」を実現するための具体的な方法としては、嘘や動揺を含む表情動作を25年度に構築した表情変化の撮影システムを用いて撮影し、25年度よりも複雑な心理的変化が生じた際の、微表情を認識するための運動特徴抽出手法を構築する。
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