研究実績の概要 |
本研究では、健康の社会的決定要因の検討を行い、日本と沖縄における健康長寿達成と毀損の要因について、特にソーシャル・キャピタルとポジティブ心理要因に着目して、検討を行った。研究期間中に、ソーシャル・キャピタルと健康に関連する研究成果についてまとめた5冊の書籍の刊行に携わった。(「Social Capital and Health from global perspectives」(springer,2013)「ソーシャル・キャピタルと地域の力―沖縄から考える健康と長寿」(日本評論社,2013)「ソーシャル・キャピタルと健康政策:地域における活用」(日本評論社,2013)「健康の社会的決定要因:疾患・状態別「健康格差」レビュー」(日本公衆衛生協会,2013)「島嶼地域の新たな展望」(九州大学出版,2014)) また本研究期間に、沖縄地域において約1万人規模の高齢者に御協力戴き、介護予防・健康長寿の延伸に関する調査を実施した。調査内容には、社会経済的背景ならびに地域生活や生活習慣に関連する内容が含まれ、健康の社会的決定要因の心理社会的メカニズム検討のため、IL-6、コルチゾール、オキシトシン・ホルモン等のバイオマーカー測定を実施し、自律神経機能、栄養状態等についても評価測定を行った。 本調査データならびに全国調査データを用いた分析により、Social Capital(以下SC)と認知症発症の関係、SCの類型による男女の健康影響の違い、SCと健診受診行動の関係について、SCの持つ予防的な健康影響が明らかになった。加えて、ポジティブな心理社会的要因としてサポートを他者に提供する利他的行動や、笑い、幸福感がそれぞれ、認知機能の維持、生活習慣病の有病率の低下と関連することが報告された。
|