研究課題/領域番号 |
25870581
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊原 寛一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90551523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イムノトキシン / 神経回路 / 脳機能 / 霊長類モデル |
研究実績の概要 |
霊長類へ適応可能なイムノトキシンを開発すべく、ハイブリドーマ3クローンから抗体可変部位をクローニング、緑膿菌毒素との融合タンパク質を大腸菌で発現させることを試みた。発現系の改善や立体構造の改良などを経て、発現量を高める事には成功した。しかしながら、3クローンはいずれもマウスIL-2Rαに対する特異性が低いものであった。そこで新たなハイブリドーマの入手を検討し、論文やデーターベースでの検索を行った。現在は別クローンのハイブリドーマを入手すべく、交渉している段階である。 また、新たなクローンにおいても特異性が得られなかった場合を想定し、抗体産生能力が高いウサギへの免疫も検討した。現在はウサギにおいてもモノクローナル抗体作製の技術が確立しており、さらには発現ベクター自体を免疫することで、より特異性の高い抗体が得られることが期待されるため、その方法も検討している。 これと並行して、霊長類高次脳機能を解明するにあたり、特定神経回路を除去するのみならず神経活動を活性化する、全く新しい化学遺伝学の手法の開発に取り組んだ。この方法は昆虫で発現し、哺乳動物細胞では全く発現していない受容体に対して、植物由来のリガンドを作用させることで、神経細胞を活性化させる技術である。げっ歯類での実験では非常に良い結果を得ており、げっ歯類のみならず霊長類モデルへ適用することも可能であると思われる。イムノトキシンによる神経回路除去と対となって神経活動をコントロールする技術となり、霊長類の高次脳機能解明につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初開発したイムノトキシンは、3クローンとも高い発現量を得る事ができなかった。そこで論文やデータベースより新たなクローンの検討を行ったことで時間を要した。更には、抗体作製能力の高いウサギへ免疫し、モノクローナル抗体を得る技術の調査や、DNA免疫について検討することにも時間を要した。 検討を行っている間、これと対になる神経活性化技術の開発に取り組んだ。こちらの実験にも時間を要したが、げっ歯類での実験では非常によい結果を得ており、霊長類への適応も期待される。
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今後の研究の推進方策 |
新たなハイブリドーマの入手を進めると共に、さらに使えるクローンがないか、調べを進める。また、新しいクローンにおいても特異性が得られなかった場合を想定し、同時進行で抗体産生能力が高いウサギへの免疫を検討している。発現ベクター自体を免疫することで、より特異性の高い抗体が得られることが期待されるため、その方法も検討している。 さらには神経活動を活性化する、全く新しい化学遺伝学の手法の開発も並行して押し進める。げっ歯類での手法を確立させることができれば、霊長類モデルへの適応も非常に期待が持てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初はマウスIL-2Rαに対して高い特異性を示すイムノトキシンを取得し、高純度で精製する予定であった。しかし特異性の高いクローンが得られなかったため、新たなクローンを取得するための、様々な方法について広く検討していた。これによって計画よりやや遅れが生じたため、今年度使用する助成金の一部を次年度へ繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
新たなクローンからのイムノトキシンの作製を行うと共に、ウサギへの免疫、モノクローナル抗体の作製も行う。作製した新型イムノトキシンの、霊長類モデルへの適応を目指す。
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