研究課題/領域番号 |
25870582
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
岡山 洋和 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20583397)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 糖鎖遺伝子 / 糖転移酵素 / マイクロRNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
大腸癌など固形癌において糖鎖は臨床的・生物学的に極めて重要であるが、糖鎖自体はDNAに直接コードされず多数の糖転移酵素群により合成され細胞表面で複雑な分枝構造をとるため解析は容易でなく、研究途上であり無限の可能性を持つ分野である。大腸癌における糖鎖の生物学的、臨床的意義に迫るため、複数のアプローチをとりつつ、糖鎖関連遺伝子(糖転移酵素)とそれらを制御するマイクロRNAの同定、さらにバイオマーカーとしての確立を目指している。例えば2つの独立したマイクロアレイデータセットで、ある特定のセラミドグルコシルトランスフェラーゼが予後不良と相関していた。この遺伝子の癌促進的意義が示唆されるが、さらにマイクロRNA-200cの標的部位を持つと推測される。miR-200cは大腸癌でエピジェネティックな機序で低下しており、EMT(上皮間葉移行)および転移を制御する。それゆえ大腸癌ではmiR-200c低下に伴うセラミドグルコシルトランスフェラーゼが高発現することで転移を惹起し、予後不良に関わるという仮説を検討している。さらに糖鎖遺伝子を制御しうるmiRNAの同定、ターゲット検索、層別化解析、クラスター解析、パスウェイ解析に加え、機能的アプローチ(大腸癌細胞株)や組織学的解析(FFPEサンプルを用いた免疫染色など)を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロアレイなどによる遺伝子発現やマイクロRNA発現データ、さらに公開されているTCGAデータなどの大規模データのバイオインフォマティクスによる関連解析、さらにその意味付けと機能解析に多大な時間を要するため。
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今後の研究の推進方策 |
生命情報的アプローチとしてさらに複数のマイクロアレイデータセットを用いた新規糖鎖遺伝子の探索を行い、糖鎖遺伝子発現と相関するマイクロRNAの同定を行う。ターゲット検索などによりマイクロRNAの標的遺伝子予測を行う。クラスター解析、パスウェイ解析など。 並行して機能的アプローチとして大腸癌細胞株を用いた候補miRNA のin vitro での確認実験、過剰発現・阻害実験、機能解析などを行う。 さらに臨床に近いアプローチとして大腸癌パラフィン切片を用いた免疫染色(糖鎖酵素、糖鎖)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析および実験系の確立に時間を要し、標的をしぼりきれなかったことで十分な機能解析、臨床データ解析に移れなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
さらに解析を進め、機能解析を行うとともに、大腸癌切除標本を用いた解析を行う。
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