研究課題/領域番号 |
25870583
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
西澤 佳代 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30644108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 背側線条体 / 弁別学習 / ラット / イムノトキシン細胞標的法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、聴覚性条件つき弁別学習の形成または維持過程における、背側線条体から投射する神経回路の詳細な役割の検討を目的とする。弁別学習の障害は、パーキンソン病における認知障害の一症状として観察される。そのため、詳細な制御機構の解明は、認知障害の新しい治療法へとつながる基盤となることが期待できる。背側線条体は解剖学的に背内側線条体(dorsomedial striatum: DMS)と背外側線条体(dorsolateral striatum: DLS)の2領域にわけられる。本年度は弁別学習の形成過程に焦点を当て、 DMSに由来する線条体淡蒼球路とDLSに由来する線条体淡蒼球路の関係性について詳細な役割を調べた。遺伝子発現の特異性に基づいて特定の神経細胞を除去する独自の遺伝学技術であるイムノトキシン細胞標的法を用いることで、DMSまたはDLSに由来する線条体淡蒼球路の選択的除去を誘導した。弁別学習の形成過程において、DMSに由来する線条体淡蒼球路が除去されたラットの正反応率や反応時間にコントロール群との差はみられなかった。またDLSに由来する線条体淡蒼球路が除去されたラットにおいても、弁別学習形成時の正反応率と反応時間に神経回路の除去による影響はみられなかった。本実験は現在も遂行中であることから、さらなる実験の結果を考慮した上で形成過程におけるDMSまたはDLSに由来する線条体淡蒼球路の役割について結論付けたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つである弁別学習の形成過程と背側線条体から投射する神経回路の役割と機能分化の解明において、DMSやDLSに由来する線条体淡蒼球路の役割に関して確かな結果が集積していることから、順調に進展していると判断したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDMSまたはDLSに由来する線条体黒質路と弁別学習の形成・維持過程における関係性に注目し、背側線条体から投射する神経回路の役割と機能分化について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた外国旅費が他の経費で支出できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験用動物の購入や飼育管理に要する備品、組織解析に要する実験機器や試薬の購入、さらに研究成果を学会にて報告する経費に対して研究費を使用する予定である。
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