研究課題
平成27年度は、成人高機能自閉症スペクトラム障害(以下ASD)当事者が自己に関するオフライン課題を行なっているときのfMRI活動データの解析を推進した。脳領域間の機能的結合に重点を置いた解析をおこない、左半球感覚運動野と大脳正中構造後部の間の機能的結合と自閉スペクトラム症の症状評価との間に有意な相関を認めた。研究結果をまとめて国際専門誌に論文を投稿した(現在査読中)。また国内学会にて口頭発表(第39回日本高次脳機能障害学会学術総会 シンポジウム「発達障害と神経心理学」東京)をおこなった。ASDの自己に関するオンライン課題については、fMRI環境下で測定可能な自律神経系測定装置(BIOPAC)を使用して、ASD当事者10名を対象に、皮膚電気反応を安静状態において測定した。皮膚電気反応を独立変数として,安静状態脳活動への効果を解析したところ,左下前頭回弁蓋部(ブロードマン44野)をはじめとする複数の脳領域に有意な皮膚電気反応の効果を認めた。また統合失調症については、自己概念の障害を反映する臨床症状として言語性幻聴に注目し、脳機能データとの関連を解析した。具体的には、統合失調症当事者25名について、言語聴覚課題を遂行中の脳活動賦活データと幻聴の程度の相関解析をおこなった。幻聴については、Auditory Hallucinations Rating Scaleを邦訳し、幻聴の大きさ、頻度、現実感を評価した。解析の結果、補足運動野の賦活量と幻聴症状の強さに有意な相関を認めた。この結果を国内学会にて発表し(第4回精神科医学会学術大会、沖縄)、現在は国際専門誌への投稿に向け、論文を作成中である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Molecular Autism
巻: 6 ページ: 1,14
10.1186/s13229-015-0026-z
Neuroimage: Clinical
巻: 7 ページ: 155,169
10.1016/j.nicl.2014.11.019.