日本社会は近代化過程においてどのような多文化共生社会を築くことが可能であるのか。この問いが本研究の主要な問題関心である。多文化共生のあり方は学術的な議論を超えて政策課題としても重要な案件として浮上している。しかしながら、肝心な共生概念について必ずしも明確な理念が共有されているわけではなく、そのことが住民感情や外国人との社会関係の構築をむしろ混乱させている現状がある。そこで本研究では、しばしば曖昧性の批判を免れない多文化共生概念を測定可能な概念として指標化をした上で、日本人・外国人に対する量的・質的調査データの分析を通して共生意識の規定要因を分析し、交流経験と社会的ゆとりの効果を導出した。
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