研究課題
若手研究(B)
本申請研究では,数値流体力学・近似モデル構築手法・時系列データ分析手法の洗練化を通して,時系列的数理モデルに基づくデジタルフライトの実用化を目指す.本年度は,そのうち,数値流体力学による時系列的空気力の取得,及び近似モデル構築法と飛行力学への適用に取り組んだ.申請課題のターゲットとしている,再突入カプセル周りの流れについて,高速フーリエ変換のほか,自己相関分析を適用し,計算ステップ数が十分でなくとも空気力が卓越する周波数帯の同定に成功した.これにより,交流流れを的確に計算できる空間離散化についての指針を得た.さらに,流れ場を風洞試験結果と比較することで,高レイノルズ数非定常流れについて実用的かつ正確な解析を行うモデル選択についての指針を得た.さらに,まずは現象について詳細な風洞・計算データがある航空機形状周りについて,空気力(空力係数・動微係数)を多点において取得し,一次関数近似,二次関数近似,Kriging法の三つの近似手法を用いて,マッハ数と迎角に関するデータベースを構築した.このデータベースから空気力を予測した結果,Kriging法が特にモーメント係数・微係数の予測において優れていることが分かった.さらに,実際に航空機の縦方向運動に着目し,これらのデータベースを用いて,長周期不安定モードであるフゴイド運動の再現を達成し,理論とも整合することを確認した.さらに,本年度までの取り組みにおいては,経験則に基づく解析により運動を模擬したため,高フィディティ・デジタルフライトをめざして,詳細な粘性計算に基づくデータベース作成にも着手した.
2: おおむね順調に進展している
申請において第一段階,第二段階として記載した,「サンプリング結果を学習データとし空力係数モデル構築手法」及び「モデルを用いた飛行予測法(「動的解析実行モード」)と呼ぶ)の構築」の遂行はおおむね終了した.また,時系列流れ場情報の分析についてもおおむね遂行できている.
今後は,予定通り「サンプリングの効率化」や「高フィディティ計算の適用」は途上であるため,次年度はより高度な内容に取り組み纏めていく必要がある.また,作成したデジタルフライトにより,航空機・宇宙機の特徴的な設計点を抽出し,最適設計法を適用へも進めていく予定である.再突入カプセルが最終目標であることを念頭に,現状では比較的数値計算の適用が容易な航空機形状から提案のフレームワークを試行していく.
海外学会発表にあたって取得した航空券が当初の見込みより安価であったため.引き続き,旅費を安く留めることに努めつつ,国際会議登録料や論文投稿料などへの活用を検討する.
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