大型国際芸術祭におけるアーカイヴの運営状況調査のため下記施設の視察を行った。 ドクメンタ・アルヒーフ ドイツ・カッセル(平成26年2月13日、14日) 現地ではアーカイヴディレクターならびに担当スタッフへのヒアリングを行い、アーカイヴの概要ならびに各担当の作業内容について聞き取りを行った。 ドクメンタ自体は半世紀以上の歴史を有する国際芸術祭であり、ベネツィア・ビエンナーレに匹敵する世界最大規模のひとつである。さらに開催地であるカッセル市は国際観光都市であるヴェネツィアとは異なり、人口20万人のドイツでも小規模の地域で実施されている。この点はとくに主要な観光資源をもたない多くの国内事例とも共通点が多い。視察を通じて明らかになったのはドクメンタ・アルヒーフは歴史資料としての収集保管というよりも、ドクメンタという国際芸術事業の機関アーカイヴ的性質の強いことが判明した。写真資料については一般的な美術館における収蔵品目録記述が採用されているが、事業史料については開催回数が増える毎にあまりにも膨大な量となっているため、既存のアーカイヴ学に準じた詳細な資料目録記述ではなく独自の手法を採用し、目録登録の作業効率化をはかっている。 上記の点については、運営面の効率化に大きな課題を抱える国内の芸術祭に対しても大きな示唆を得られる事例となった。その他、各担当の業務課題、実施スケジュール等も運営モデルとして十分に参考となる視察となった。
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