研究実績の概要 |
平成27年度ではこれまでに引続きアメリカ、テキサス州Cotton Valleyにおける水圧破砕によって誘発された微小地震についての解析を進め、これらの地震の震源解析をより直接的に行うために,剪断破壊とテンサイル(TC)のメカニズムで制約することにより解の安定を得る手法を開発した. また水圧破砕においては観測方位が1、2個と限られる場合が多いため、クラスターごとのメカニズムを同じと仮定し、観測点と震源を逆転させることで観測方位の確保を可能にした。これらの手法を数値実験を繰り返し妥当性を検証した結果,半無限媒質を仮定し,P波,SH波,SV波の振幅比を使用できる条件下においてCotton Valleyの観測条件に適用した場合,TC成分20%までならば解析可能であるという結果が得られた.Cotton Valleyの観測条件ではTC成分が30%を超過するとP波はすべて押しになることが示されているが、観測されたP波は引きも多数見られるため整合しない。故にCotton Valleyの微小地震ではTC成分は多くとも20%程度であると考えられ,本研究で開発した手法によりTC成分を検出できる可能性が示された. また27年度はより多くの水圧破砕データを解析するために共同研究も活発に行った. 主たるものとしてカナダアルバータ大学との共同研究があり, 1. 2011年から2012年にかけてアルバータ州で発生した微小地震のメカニズム解析, 2. 2015年6月13日に発生した最大規模の誘発地震であるM4の地震に焦点をあててその発生過程を詳しく解析して発生原因の解明を試みた. これら2つの共同研究の成果をまとめた論文も受理されている.
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