これまでに、GPNMBが小胞体ストレス存在下でシャペロン分子であるGRP78の発現を増加させることを明らかにした。GPNMBは細胞外に放出されるN末端側と細胞内に留まるC末端側に酵素によって切断される。そこで、GPR78の発現誘導にGPNMBのどの部位が必要であるか検討したところ、完全長のGPNMBが重要であることを明らかにした。 本年度は、GRP78に対するGPNMBのスプライシング促進機構について詳細に検討するため、in vitroスプライシングアッセイを試みた。GRP78の未成熟なmRNA配列をPCR法にて単離してcDNAを作製後、逆転写により未成熟なGRP78 mRNAを得た。電気泳動により目的のmRNAが合成されていることを確認して、放射性同位体(RI)で標識された33P-UTPを用いて同様に未成熟なGRP78 mRNAを合成、精製した。マウス運動ニューロン様細胞株であるNSC34細胞にGPNMBを過剰発現させ、核抽出物を得た。この核抽出物とRI標識されたGRP78 mRNAをチューブ内で反応させ、その後電気泳動を行いスプライシング反応によるGRP78 mRNAの泳動の変化を観察した。現在、反応の至適条件等の実験を行っており、データ取得後に本試験を行い解析する予定である。
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