研究課題/領域番号 |
25870611
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
堀田 祐志 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90637563)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小児 / 勃起機能 / フルクトース / コレステロール / 食生活 |
研究概要 |
本研究では、小児期の偏った食生活、特にフルクトースやコレステロールの過剰摂取が勃起機能にどのような影響を与えるのか明らかにすることを目指し、小児ラットを用いて研究をすすめている。 平成25年度に行ったフルクトース過剰摂取の検討では、4週齢の小児ラットに対し5%, 10%, 15%のフルクトース水を4週間飲水投与し、その後4週間通常水に変えて飼育し勃起機能の評価を行った。コントロールには通常水を与えたラットを用いた。勃起機能は海綿体神経刺激時の陰茎海綿体内圧を測定することで評価した。その結果、投与群とコントロール群に勃起機能の差は見られなかった。この原因としてフルクトース負荷の期間が短かったことがあげられるので、投与期間を8週間へと延長し投与期間直後で勃起機能に低下が見られるか検討した。その結果、全ての濃度のフルクトース水摂取群において勃起機能の低下が見られた。これらのラットから血液を採取し、生化学パラメーターやホルモンについて検討したところ血糖値、中性脂肪の上昇傾向、バイオアベイラブルテストステロン値の減少傾向が見られた。総コレステロール値、HDL、LDLコレステロール値には明らかな差は認められなかった。観察期間中の飲水量は、5%, 10%フルクトース群は増加が見られた。 コレステロール過剰摂取の検討では、小児ラットに対し2%コレステロール含有食もしくはコントロールとして通常食を8週間与え勃起機能を評価した。その結果、2%コレステロール食群では通常食群と比べて、勃起機能に有意な差は認められなかった。 小児期の食生活が勃起機能に与える影響はこれまでに検討されていなかった。平成25年度の研究から小児期のフルクトース摂取が、勃起機能に悪影響を与えること示唆された。今後フルクトース過剰摂取後に食生活を改善した場合に勃起機能が改善するか検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児期の偏った食生活が将来の勃起機能にどのような影響を与えるのかについてまだ詳細に検討されていない。本研究の目的は、小児期の食生活の偏り、特にフルクトースの過剰摂取やコレステロールの過剰摂取が勃起機能に与える影響を明らかにすることである。 平成25年度に行った小児ラットを用いた研究では当初、小児ラットにフルクトースを4週間負荷したところ予想に反して勃起機能に差は見られなかった。そこで負荷期間を8週間に延長し研究を行ったところ、小児期のフルクトース過剰摂取が勃起機能を低下させることを見出だした。また生化学パラメーターを調べた結果、血糖値、中性脂肪の増加、テストステロン値の減少傾向が見られ、これらが勃起機能低下の一因として働いている可能性が示唆された。今後摘出した陰茎組織を用いて詳細な検討をしていく予定である。 一方、コレステロール過剰摂取はラットの勃起機能に影響を与えない可能性があることが研究結果から見出だされた。今後はラット血液中の生化学的パラメーターを解析し脂質異常の程度を調べる。脂質異常を呈していない場合はコレステロール負荷を増加させ実験を進めていく。 以上のことから、フルクトース過剰摂取による勃起機能への悪影響が示され、研究はおおむね順調に伸展していると考えられる。平成26年度はこのフルクトースによる陰茎構造への影響ならびに勃起機能不全が不可逆なものかどうか検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究成果から小児ラットにフルクトース水を8週間飲水投与することで勃起機能が障害されることが明らかになった。平成26年度は摘出した組織を用いて陰茎海綿体構造を評価する。同時に、このフルクトース過剰摂取による勃起機能への悪影響が、フルクトース摂取を中止した後も持続するのかどうか検討を行う。具体的には、平成25年度と同様に4週齢の小児ラットにフルクトース水を8週間過剰摂取させ、その後8週間もしくは12ヶ月通常水で飼育し勃起機能の測定を行う。測定後、血液、陰茎組織を採取し、生化学パラメーター(血糖値、中性脂肪、バイオアベイラブルテストステロン値、総コレステロール値、HDL、LDLコレステロール値)および陰茎海綿体構造の評価に用いる。またフルクトース過剰摂取は酸化ストレスを増加させるという報告があるので、陰茎海綿体組織に対する酸化ストレスについても調べていきたい。 コレステロールの過剰摂取についての研究は、平成25年度に採取した血液サンプルをもちいて生化学的なパラメーターの解析を行い脂質異常を呈していたのか確認する。脂質異常が確認できない場合はコレステロールの負荷を増加し再度検討を行う。
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