研究課題/領域番号 |
25870615
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
クォ ヤ ウェン 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (70640431)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本統治時代 / 日本人住宅地 / 日式住宅 / 供給型住宅 / 台湾 |
研究概要 |
日本植民政府が1899年、1910年、1936年に発布した法令により日本人に台湾への移住を奨励し、多くの日本人が台湾に移住した。1912年には台北市都市計画が実施され、特に1920年「町名改正」以後、大量の日式住宅が建設された。本研究ではそれらの日式住宅のうち、供給型住宅の建設経緯、形成背景や建築的特徴の把握を目的としている。 平成25年度は、研究課題を「文献史料・資料による台湾日式住宅の供給型住宅の建設経緯、形成背景の把握」とし、調査・分析を計画し、まず、台湾統治とその具体的な植民政策に関する史料・資料調査を行い、日式住宅建設に至る歴史的背景を把握している。 また、当時の日本植民政府が発行した「臺灣建築會誌」(1929年~44年)と台湾総督府の記録「臺灣總督府公文類纂」(1895年~1945年)を用い、これらに掲載された当時の供給型住宅の図面、写真などを収集している。また、当時の供給型住宅の建設経緯を把握するために、日本統治時期に建設した官舎の遺構が残っている旧台北帝国大学(現台湾大学)を訪ね、許可を得た上で、旧昭和町の大学官舎の住宅地の形成背景や建設経緯について史料・資料調査を行った。 それらの調査より得られた結果の例として、①旧昭和町は旧台北高等商業学校、旧台北高等学校および旧台北帝国大学のいずれの学校からも当時の交通感覚では徒歩圏内であったため、教員の住宅地として選定され、官舎や個人所有住宅が立ち並ぶようになった。②大学官舎は、昭和3年に旧台北帝国大学の教員の住居として建設された。知識層が多く、研究や教育に熱心な日本人の教員が集まる住宅地で、当時、大学官舎と呼ばれていた。③当時は、住宅地の東西に1条通りから4条通りまでの四つ道路が計画され、各通り道の両側に40戸(33軒)の官舎と単身官舎が1棟(16戸)建設された。以上の諸点が挙げられ、日本統治時期に建設された旧台北帝国大学官舎の建設当初の状況として把握している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
台湾の日本統治時期に関する史料・資料は、現在、主に国立中央図書館台湾分館と国史館台湾文献館に所蔵されている。当時の植民政府である台湾総督府に関する書物、新聞や公文類纂などの史料・資料が残されているため、本研究では、台湾においても、史料・資料文献調査を行っている。また、国立公文書館や北海道大学図書館にも日本統治時期に関する史料・資料が残されており、それらについての史料・資料の収集も行っている。 これまでに日本統治時期の地図や地形図などを手に入れたが、国史館台湾文献館では、史料・資料を閲覧するための電子化のシステムを現在導入中であるため、供給型住宅(官舎、社宅、移民住宅、営団住宅)に関する史料・資料や配置図、平面図などの図面、仕様書については、調査することが出来ない状況となっている。そのため、当時の供給型住宅の全体像や各種類の建築的特徴までの分析を終えるにはまだ至っていない。今後は、それらの分析を行い、研究結果としてまとめることを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在までに収集した台湾の日本統治時期に関する史料・資料の分析を行い、当時の供給型住宅(官舎、社宅、移民住宅、営団住宅)の全体像や各種類の建築的特徴を明らかにする。 また、当時の史料・資料が電子化され次第、各種類の供給型住宅に関する図面、写真などを入手し、当時の供給型住宅の全体像やそれぞれの建築的特徴などの解明を進める。 次年度は、上記諸史料・資料に掲載された図面や写真の分析に加えて、現存する供給型住宅の遺構を中心に、建物外観、寸法、構造、使用状況、庭の状況などの現地調査、実測調査や現居住者、居住していた日本人元居住者のインタビュー調査によって、その実態を明確にする。また、供給型住宅の営団住宅は現存していないため、文献史料・資料により分析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究を遂行するため、国内外の文献、資料の収集・複写・印刷、データの購入などの経費を計上していた。しかし、国史館台湾文献館では、当時の資料を閲覧するための電子化のシステムが導入される最中であるため、現在、史料・資料調査することが出来ない状況となっている。そのため、日本統治時期の図面、史料・資料などの複写や印刷の経費が残る結果となった。 日本統治時期の史料・資料が電子化されれば、これまで以上に官舎、社宅、移民住宅、営団住宅に関する文献史料・資料や図面、写真などを入手しやすくなり、当時の供給型住宅の全体像やそれぞれの建築的特徴などの解明が進められると考えられるため、次年度での計画で予算を使用する予定である。 平成26年度は、収集した史料・資料、図面、仕様書、写真などの分析を行い、さらに現存している供給型住宅(官舎、社宅、移民住宅)の遺構を中心に、建物外観、寸法、構造、使用状況、庭の状況などを現地調査、実測調査や現居住者、居住していた日本人元居住者のインタビュー調査を行う予定である。それらの分析を行い、台湾で建設された供給型の日式住宅について、それぞれの平面構成などの建築的特徴やその実態を明らかにすることを目指している。
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