研究課題
難治性の癌である膵癌に対する新たな微小癌巣の診断法を開発し、最終的には、過不足のない個々の患者に適したオーダーメイド治療の実現を目指す。5-aminolevrinic acid(5-ALA)はヘムの前駆体物質であり内因性のアミノ酸である。5-ALAが癌細胞内で特異的に代謝され、蛍光物質であるprotoporphyrinIX (PpIX)を蓄積するという性質を利用して、術中の蛍光診断ならびに治療を基礎的に検討する。18例の膵癌患者に5-ALAを術前に内服してもらい、術中に蛍光診断を行った。蛍光陽性な腹膜播種結節を有する症例を2例認め、病理診断でも腹膜播種と診断された。リンパ節に関してはunmixixingを行う事でコラーゲンや脂肪組織の自家蛍光を除外することができたが、PpIXの蛍光も減弱し、今後さらなる検討が必要と考えられた。膵癌細胞株である、Panc-1、MIA Paca2、PK-45H、KP4-1、PK-59を5-ALAで処理するといずれの細胞株もPpIXの蛍光を確認することができた。また、5-ALAで処理した細胞株にLEDの光を照射するとコントロールと比較し、有意に治療効果を認めた。MIA Paca2を皮下移植し、LEDを照射するとコントロールと比較し有意に治療効果を認めた。また、PpIXの吸収スペクトルに合わせた3種類のLED(青色、緑色、赤色)を用いると、その効果は青>緑>赤の順であった。膵癌細胞株に5-ALAとともにABCG2を競合阻害する薬剤を投与すると、PpIXの蛍光強度は増強し、PDTの治療効果も増強した。その理由としてROS(reactive oxygen species)を測定すると治療効果の高い群でROSの産生量が高いことが確認できた。しかし、照射光の波長によりその産生量と治療効果に差があり、今後さらなる検討が必要と考えられた。
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Int J Oncol.
巻: 45 ページ: 41-46
10.3892/ijo.2014.2417. Epub 2014 May 6.