研究課題
若手研究(B)
これまでの検討により、Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs(NSAIDs)起因性小腸傷害の発症メカニズムにTNFαなどの炎症性サイトカインの活性化が関与していることは判明している。IL-1βは代表的な炎症性サイトカインでありTNFαと多くの共通した作用を有するが、IL-1βの本傷害に対する役割については不明である。インフラソームとはこのIL-1βを制御する分子機構である。本研究はインフラマソームがNSAIDs起因性小腸傷害に関与しているかどうかを検討することを目的としている。NSAIDsの一つであるインドメタシンをマウスに投与することにより小腸傷害が認められ、インドメタシン投与6時間後からのIL-1βのmRNAの有意な発現亢進が認められた。またIL-1βの小腸組織中蛋白量はmRNAの変化とほぼ相関していた。さらなる検討のため、IL-1βを中和抗体により中和したところインドメタシン起因性小腸傷害は軽減した。インフラマソームを形成するコンポーネントであるNLRP3を遺伝子的に欠損させたマウスでは、野生型マウスに比べインドメタシンにより惹起される小腸傷害の程度は軽微であった。
2: おおむね順調に進展している
現在のところ当初の予定通りに、主に動物実験で小腸NSAIDs傷害形成に対してインフラマソームが深く関与することを示唆するデータが集積できている。
研究計画のごとく、今後もデータ集積をすすめる予定である。また、2014年度のアメリカ消化器病学会で当成果の一部を報告予定である。
すべて 2014
すべて 学会発表 (1件)