研究課題/領域番号 |
25870630
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
齋藤 歩 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20400533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メッシュレス法 / 数値解法 / 境界要素法 / 境界節点法 |
研究実績の概要 |
本研究では,偏微分方程式の境界値問題の数値解法として近年注目を集めているメッシュレス法に焦点を当てている.有限要素法や境界要素法のようにメッシュレス法は要素分割という処理を全く必要としないため,入力データを簡素化できる.また,要素上ではなく節点間情報を用いて解や法線微係数を近似するため,滑らかな数値解が得られる利点がある.これらの観点から,メッシュレス法は次世代の数値解法と云っても過言ではないのである.筆者らはメッシュレス法の一つである拡張境界節点法(X-BNM)を開発した.X-BNMは境界型数値解法であるため,境界上に節点を配置すればよいメッシュレス法である.しかしながら,X-BNMでは境界要素法と比べて概ね高精度な解が得られる反面,計算スピードが非常に遅いという問題が残っていた.そこで,本研究では大規模問題への適用を目指してX-BNMを改良し,数値実験を通して提案法の性能を評価することを目的としている. これまでの研究によって,H-行列法を適用したX-BNMは従来のX-BNMと比べて非常に高速に計算できることを示した.また,たとえ解析形状が複雑になったとしても,H-行列法を適用したX-BNMの精度は従来のX-BNMとほぼ一致することもわかった.これらの結果を踏まえて,平成28年度では1) 高速X-BNMの工学的問題への応用,2) 平成27年度までに残された問題の解決について研究を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の目標は 1) 高速多重極展開X-BNMの実装とその性能評価 2) Adaptive Cross Approximation (ACA) 付きX-BNMの実装とその性能評価 であった.高速多重極法では,境界積分方程式を直接近似するため,解の精度は境界積分方程式の展開精度に大きく依存する.一方,ACAの場合,離散化代数方程式の近似解法であるため,解析的な部分には近似誤差が含まれない.上記の観点から,まず,ACA付きX-BNMの実装と性能評価を行った.その結果,X-BNMの高速化に対して一定の成果が生まれた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,大規模問題への適用を目指してX-BNMを改良し,数値実験を通して提案法の性能を評価することを目的としている.この目的を達成するため,平成28年度では以下の2点: 1)高速X-BNMの工学的問題への応用 2)平成27年度に生じた問題の解決 について研究実施予定である.具体的には,1)では高速X-BNMを構造解析や電磁界解析等に現れる工学的問題への適用し,実問題に対するX-BNMの性能を評価する.その際,問題が生じれば,高速X-BNMの基礎理論の改良を行う.2)では前年度の研究によって生じた問題がある場合,同問題の解決をはかる.特に,高速多重極展開X-BNMの実装とその性能評価を実施予定である.なお,研究成果を国内外の学会や論文誌等で発表してゆく予定である.
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