研究課題/領域番号 |
25870633
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
玉置 盛浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (90382316)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 1免疫細胞療法 / γδT細胞 / 口腔がん |
研究概要 |
がんに対する免疫療法は副作用が少なく、再発予防にも有用とされており,手術療法、放射線療法、化学療法についで第4の治療法として期待されている。その免疫療法で用いられるリンパ球の1種であるγδT細胞は強力な抗腫瘍作用をもつが、末梢血中にわずか1%程しか存在しておらず効率の良い抗腫瘍作用を発揮できていない。しかし、近年ゾレドロン酸を用いた体外での活性化培養法が見出され、その有用性が再度注目されているが、がん患者は免疫抑制状態にあるため治療効果が十分に発揮できない問題点もある。本研究の目的は、γδT細胞の抗腫瘍作用に関与しているMICAタンパクの遺伝子多型とγδT細胞のがん細胞に対する細胞障害性を検討し、強力で効率のよいγδT細胞療法の開発を目的としている。研究実績としては、1:血清を用いてゾレドロン酸とIL-2によるγδT細胞の活性化培養を行うことでγδT細胞の増殖を確認した。2:培養したγδT細胞を用いてin vitroで口腔がん細胞株に対する細胞障害性を検討を行ったところ細胞障害性を認めた。3:MICA遺伝子多型とγδT細胞とのがん細胞株に対する細胞傷害性は検討中である。4:γδT細胞療法の臨床応用に向けて活性化培養を行ったγδTと口腔がん領域で承認された各種抗がん剤を併用し細胞障害性を検討している。また、頭頸部がん領域で承認された分子標的薬であるセツキシマブは抗体依存性細胞障害活性(ADCC)による抗腫瘍作用を示し、γδT細胞もCD16抗体を介したADCCを示すことから分子標的薬とγδT細胞の併用による効果を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はγδT細胞の抗腫瘍作用に関与しているMICAタンパクの遺伝子多型とγδT細胞のがん細胞に対する細胞障害性を検討して効率のよいγδT細胞療法の開発を目的としている。研究の達成度としては、1:血清を用いてゾレドロン酸とIL-2によるγδT細胞の活性化培養を行い、γδT細胞の増殖をFlow cytometry法で検討している。2:活性化培養したγδT細胞を用いてin vitroでがん細胞株に対する細胞障害性を検討中である。3:MICA遺伝子多型とγδT細胞とのがん細胞株に対する細胞傷害性を検討中である。4:活性化培養を行ったγδT細胞と各種抗がん剤を併用し細胞障害性を検討しており、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、γδT細胞は抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を有することから、分子標的薬であるセツキシマブとの併用効果が期待される。γδT細胞とセツキシマブを併用して口腔がん細胞に対する抗腫瘍効果の有効性に関して検討を行う予定でる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究にて使用されるため購入予定であった倒立顕微鏡やクリーンベンチは研究室に現存しているもので代用が可能であった。また試薬などの消耗品も研究室に現存している試薬から使用したため、次年度の使用額が生じた。 使用計画としては、実験を遂行するのに必要な研究試薬の消耗品(がん細胞株、抗がん剤の試薬、抗体)の購入資金にあてる予定である。
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