脳の視床下部は、生命維持活動に重要な本能行動、摂食、飲水、睡眠、性行動ならびに自律神経の調節を担う。視床下部は、その組織学的・化学的特徴から更に10個以上の小区域に分けられている。本研究は、最近我々が発見した新規な視床下部領域、仮称「デルタ神経核」の、①構成ニューロンの種類、②神経回路、③生理機能 の3点の解明を目指し研究を行った。その結果、デルタ神経核ニューロンは、神経ペプチドの一種であるエンケファリンを産生し、情動制御に関わる外側中隔と双方向性の神経連絡を有することが明らかとなった。また、これらニューロンは心理的なストレスに応答し、不安の制御に関与する可能性が示唆された。
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