当研究室が有している110例の肝細胞癌サンプル(手術標本)を用い、免疫組織学的検討を行ってタンパクレベルでのSETD8の発現をチェックした。そこで手術標本とリンクした腫瘍因子・背景因子・手術データに関するdatabaseを用いて、臨床に直結した検討を行い、再発/転移・予後との相関等を中心に統計学的解析を行い、SETD8高発現が肝細胞癌において果たす臨床的意義を解明した。 するとSETD8陽性群は陰性群と比較して、1年全生存率が統計学的に有意に不良であることが判明した(P=0.011)。また1年無再発生存率においてもSETD8陽性群で不良である傾向が見られた(P=0.039)。このことよりSETD8が陽性である肝細胞癌では、早期再発をきたし、さらに予後に関与していることが判明した。その理由として、肝細胞癌の分化度に関わっていることが考えられ、SETD8陽性群では陰性群と比較して、低分化であることが判明し(P<0.01)、関連が示唆される。 同内容は、名古屋で開催された第74回日本癌学会学術総会で発表した。題名:Overexpression of SETD8 promotes early recurrence in hepatocellular carcinoma.
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