研究課題/領域番号 |
25870648
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
石井 佑可子 藤女子大学, 文学部, 准教授 (40632576)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 対人距離化スキル / 青年期 / アタッチメントスタイル / スキル獲得 |
研究実績の概要 |
H27年度は、対人距離化スキルを支える要因として、個人の来歴に着目した。具体的には、アタッチメントスタイルとスキル行使との関連を検討するため、大学生男女にアンケート調査を行った。 その結果、アタッチメント指標の1つである見捨てられ不安は距離化スキルと正の相関があることが示され、関係の断絶を望まないでいるとその場のやりとりを収める戦略を行使するようになる可能性が示唆された。また、もう一つの指標である親密性回避は距離化スキルと無相関だったため、これらは独立したものであることが示された。戦略的な回避・欺瞞行動である距離化スキルは単なる対人撤退によって形成されるわけではないことが証されたといえる。さらに2つの指標を元にアタッチメントスタイルを分け、群別のスキル行使を比較したところ、親密性が比較的高い相手条件において群間差が認められ、恐れ回避型の距離化スキル行使が安定型・拒絶回避型に比して有意に高いことが示された。2つの回避型の違いが距離化スキル行使スタイルにおいても見出されたといえよう。また、相手条件に応じたスキル得点の比較から、2つの回避型は、相手に応じた特に敏感なスキル行使調節を行っている可能性が示唆された。 以上の結果から、現時点でのスキル行使スタイルは、発達の早期から醸成された対人関係の枠組みの影響を受けていることが示されたと考えられるため、長期的なスキル獲得の道筋やその様相を詳らかにする必要性が改めて示された。 これらの調査結果はH27年度開催の学会で公表、またH28年度開催の学会での公表準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の遅れを受け、計画が当初の予定通り進まない部分があったため。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の計画に従う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度予定の調査実施がずれ込んだために、計画が順次遅れ、まだ実施されていない調査にかかわる諸経費が使用されなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記調査のために使用予定である。
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