本研究では、地中に埋没した第四紀火山灰土壌を採取し、数万年に及ぶ土壌有機物について、アミノ酸組成などの生化学的解析を行った。その結果、年代が古いものほど微生物由来のアミノ酸の含量は占める割合が多くなるなどの一定の方向性がみられた。また、土壌への炭素添加培養実験の結果、こうしたアミノ酸や炭素の蓄積は、土壌による吸着能力の違いと結びついていた。これらの研究結果は、土壌有機物が長期に隔離される上で、(1) 微生物体がその生成物の質の収斂に大きく寄与していること、(2) 残存する成分に選択性が存在すること、(3) そしてその残存が土壌の吸着によって左右されることを新たに示した。
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