研究課題
ケミカルエピジェネティクスを基盤とする培養法に適応可能な新しい細胞内因子の探索を中心に、様々な培養条件検討を実施し、新規生物活性物質の生産を試みた。(1)前年度では市販で入手可能なエピジェネティック因子制御物質による、糸状菌の物質生産への影響を検討した。本年度は、エピジェネティック因子に対する作用が報告されているマイコトキシン類(Mycotoxin Res. 2013, 29, 235)であるシトリニンやペニシリン酸を、当研究室が有する菌株より取得し、海洋糸状菌50菌株(2014年度分離)に対する影響を確認した。現在までに、2株の糸状菌において、シトリニン添加培養による物質生産の変化が観察された。(2)ハロゲン化物塩の添加培養により、種々のハロゲン化epipolythiodiketopiperazine類(ETPs)を生産する海洋糸状菌Trichoderma sp. TPU199株について、HDAC阻害剤であるDMSOの添加と海水培地の組み合わせ培養を行った結果、新規trithiodiketopiperazineの誘導生産に成功した。また、一部のETPs類にヒストンメチル化酵素阻害活性が報告されているため(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2013, 23, 733)、本菌株から得られるETPs類による、ケミカルエピジェネティクスへの応用も検討している。(3)本研究過程で得られた培養液を用いて生物活性スクリーニングを行った。糖尿病や肥満症の新たな標的として期待されるPTP1Bの阻害剤として、新規化合物asperdichromeを糸状菌Aspergillus sp. TPU1343株より発見し、糸状菌Penicillium sp. TPU1271株より見出した既知化合物verrucosidinの新規活性として抗Mycobacterium活性を見出した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 4件、 査読あり 13件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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