研究課題/領域番号 |
25870662
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
一條 佑介 東北文化学園大学, 科学技術学部, 助教 (80550574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 病態検査学 / 医用システム / 臨床検査システム / 検査・診断システム / 生体ガス / ホルムアルデヒド |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者らかが開発した微量ガスの濃縮・捕集分析技術を基に、尿からのホルムアルデヒドの分析精度を高めるため、高性能の濃縮型サンプラ、および尿用生体ガス採取器具を提案し、 その採取・分析性を検証して悪性腫瘍疾患検査法の確立に資する研究を行うものである。 (1)高効率で捕集する濃縮型サンプラの開発:尿からのホルムアルデヒドを効率よく捕集するためには、サンプラの吸着材(剤)が重要である。そこで、ホルムアルデヒドの吸着に特化した物理吸着材と化学吸着剤を選定した。具体的には、これまでの知見を基にホルムアルデヒド捕集に適した素材(物理吸着材:6種類、化学吸着剤:9種類)を用意し、人工尿(塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、尿素、アンモニア水、精製水)を作製し、発生する濃度レベルに合わせ、ホルムアルデヒドのガスを小型チャンバー内に導入し、捕集を行った。実験の結果を基に吸着材(剤)を選定した。 (2)生体ガスを効率的に発生、導入するガス採取器具の開発:開発目標のガス採取器具は自動開閉扉、空気清浄フィルタと加熱ヒータ等で構成されている。そこで、ガス採取器具に供給される空気が生体ガスの分析精度に大きな影響を与えるため、供給空気口に空気清浄フィルタ(活性炭層とシリカゲル層)を選定し、設置することで、分析に影響を及ぼす干渉ガスを考慮した。また、尿から発生する生体ガスは尿の温度によって発生量に大きく影響を与えるため、ガス採取器具に加熱ヒータ(ウォータバス)を設置し、検体の尿体温を自在に制御できる機構を持たせた。 また、気中放出部分の改良により、更に広範囲の生体ガスを捕集し、定性・定量が行えた。分析機器はHPLCを用いて実施しており、感度よく広範囲の物質が測定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、温度、湿度、換気量がコントロールできる「空気環境実験室」を使用して、ある環境条件を一定に制御しながら遂行することが必須である。 しかしながら、実験室内空調機の冷凍機(コンプレッサ)が故障したことによってブレーカーが遮断され、異常停止を生じ、研究が遂行できない現状にあった。 現在は、実験室内空調機の修理が完了したが、研究遂行できない事態が続いたため、補助事業期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
測定物質が被験者の健康状態や疾病とどのような関わりがあるかが知りたいところである。本技術の完成度を上げることにより、今後の疾病診断技術の裾野が広がると考えている。 そのため、平成27年度では以下の研究を進める予定である。 (1)高効率で捕集する濃縮型サンプラの開発: 開発目標の濃縮型サンプラは、物理吸着材、化学吸着剤と定流量ポンプ等で 構成されている。そこで、尿から の生体ガス成分と前立腺がんの関係を明らかにするためには高効率な捕集が必要であると考え、濃縮型サンプラの目標捕集効率をほぼ100% とする。 (2)生体ガスを効率的に発生、導入するガス採取器具の開発:開発目標のガス採取器具は自動開閉扉、空気清浄フィルタと加熱ヒータ等で構成されている。そこで、試作機を作製し、生体ガスを効率的に発生する機構の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、温度、湿度、換気量がコントロールできる「空気環境実験室」を使用して、ある環境条件を一定に制御しな がら遂行することが必須である。しかしながら、実験室内空調機の冷凍機(コンプレッサ)が故障したことによってブ レーカーが遮断され、異常停止を生じ、研究が遂行できない現状にあった。 現在は実験室内空調機の修理を完了しており、補助事業期間内に研究遂行が難しく、実験内容を変更したため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度では、捕集効率の確保 選定した吸着材を用いて、最も効率良くかつ安定した捕集技術(配合組成、使用量、通気速度、尿温度等)の提案を目指す。また、放散ガスの捕集を集約的かつ自動的に行えるガス採取器具を試作する。 そのため、上記研究の遂行に伴う、必要な物品、研究発表に必要な旅費、アルバイト学生等の謝金、外注費用など支出する予定である。
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