研究課題
本研究では、世界的にも関心の高まりをみせているサプライチェーンを通じた環境取り組みの1つであるScope3排出量把握行動について、ステークホルダーからの影響や、顧客からの情報開示要求などに焦点を当てながら、日本国内の製造業を対象とした調査から得られたデータをもとに、その決定要因を明らかにした。分析の結果、投資家・ファンドや消費者などといったステークホルダーからのGHG排出削減行動の要求や、顧客からのGHG関連の情報開示要求によって促進される可能性が示された。また、そのようなステークホルダーからの要求を受けている企業ほど、顧客からのサプライチェーンを通じた情報開示要求が強く影響することが明らかになった。現在、Scope3排出量の把握は、環境取り組みに先進的な企業を中心に取り組まれている状況にある。地球温暖化問題への関心が高まる中、自社の事業範囲内でのGHG排出量把握が進んだ先進国企業において、更なる排出削減を実施するためには、サプライチェーンにおける排出削減を進めることが不可欠であるだろう。この点を考慮すると、今後Scope3排出量把握が、ISO14001認証取得のように、海外企業との取引条件となるなどといった性質をもつようになり、より広範囲の企業においてスタンダードなものとなると考えられる。今後の研究の方向性としては、日本企業におけるScope3排出量把握の普及プロセスについて検討することが挙げられるだろう。
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Research Institute of Business Administration Working Paper
巻: No. 2014-001 ページ: 1-17
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要
巻: 18 ページ: 123-137