研究課題/領域番号 |
25870673
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
根本 和幸 東京国際大学, 国際関係学部, 講師 (40453617)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際法 / 武力行使 / 自衛権 / テロリズム / 必要性 / 均衡性 |
研究概要 |
初年度にあたる2013年度は、国際法における武力行使を規制する武力行使の開始の合法性を評価するjus ad bellumと武力紛争法であるjus in belloの相互独立性とその相互影響関係に関する先行研究を分析・検証した。 具体的内容として、武力行使に関する国際裁判所の判決の再検討を行った。国際司法裁判所におけるニカラグア事件、核兵器使用・威嚇合法性に関する勧告的意見、オイル・プラットフォーム事件、コンゴ・ウガンダ軍事活動事件の判決理由、各裁判官の個別及び反対意見、ならびに各国の申述書を中心に、その論理構造を検討した。そのうえで、両法体系間の関係を1980年代に論じた先駆的研究を行ったC.Greenwoodの学説分析も踏まえて、今後の研究遂行の方向性を確認した。 その結果として得られた、今後の研究上の意義および重要性として、上記検討における国際社会における集権化、具体的には国際連合の有する国際集団安全保障体制がどのように機能しているか、そしてそれに対してjus ad bellumとjus in belloとの関係にいかなる影響を与えているのかという視座も不可欠であるということが明らかになった。すなわち、前述のGreenwoodの先行研究は、米ソ冷戦構造の中で安全保障理事会が拒否権により十分な機能を果たすことが困難であった国際情勢を背景としていた。したがって、その学説が冷戦構造の終焉後の1990年代以降の安保理による武力行使を伴う国際紛争への対処については想定されておらず、それゆえ、イスラエル・パレスチナ間の紛争やアフガニスタン戦争といった現代的紛争に対する国連安保理決議の検討がなされなければならない。そのような国家実行および国連の実践の実証的分析をも重視した分析の重要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」および「研究実施計画」に沿って、滞りなく進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前年度の研究を踏まえて、各論的に領域統治能力を欠く領域国やテロリズムに対する武力行使に絞り、必要性・均衡性原則の判断基準を明らかにする。その際の研究方法の工夫として、従来は個別に論じられてきた「時間的」・「主体的」位相を、必要性・均衡性原則の観点から体系的に論じる。 なお、現在までの研究課程において、追加的に検討が必要な論点もあることが明らかになった。それについては、次年度の研究遂行の中で扱うことを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行に当たり、購入した書籍や論文の研究を第一に行うことが必要と考えられたため、次年度使用額が生じた。 また、当初予定していた研究出張についても、出席を予定していたカンファレンスが先方の予定でキャンセルになったため、支出することが不可能となった。 上記理由により、今年度は、当初交付申請書に記載した内容での支出を予定している。また、研究出張についても、原則として申請内容の通りで変更はないが、前年度分の研究予定内容に関連する出張も計画に加える予定である。
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