研究課題/領域番号 |
25870673
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
根本 和幸 東京国際大学, 国際関係学部, 講師 (40453617)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自衛権 / テロリズム / 必要性 / 均衡性 |
研究実績の概要 |
今年度は、テロリズムに対する自衛権に基づく武力行使に関して、とりわけアフガニスタンに対する武力行使に焦点を合わせて事例研究を行った。そこでは、米国等の有志連合による2001年のアフガニスタン攻撃以降、国連安全保障理事会の関与により、武力行使の根拠が変更されることで、その行使態様基準にも変化が生じたことを明らかにすることができた。すなわち、jus ad bellumという武力行使の合法性を規律する規範とjus in belloという武力紛争法の相互関係を見出すことが可能となった。 その際の必要性・均衡性原則の解釈・適用においては、軍指令の検討から、安保理決議によるOEF(不朽の自由作戦)とISAF(国際治安支援部隊)の協働化措置の結果として、そこには自衛権に内在する行使態様規制要素である必要性・均衡性原則が導入され、同原則がjus ad bellumのみならず、武力紛争中においても適用されることが明らかにされた。 このjus ad bellum上の行使態様規制が、安保理決議という特別の規範を介在することにより、武力紛争中の当事者の行為に規範的に統制を及ぼし、それゆえ、jus ad bellumが敵対行為を規制するjus in belloを補完する機能を果たしていると結論することができる。 これは、同原則がjus ad bellumとjus in belloとの相互関係を示唆するものと評価できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた海外研究機関での調査は、先方の都合等で実施することができなかった。しかしながら、それ以外の点では、当初の計画に従って行われている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究活動は、とくにアフガニスタンの事例研究に限られた。したがって、今後は、それ以外非国家主体によるテロリズム事例にも対象を拡大することが必要であると認識している。 そうすることで、国際法上の武力行使における必要性・均衡性原則を一般化して評価することが今後の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一に、平成25年度及び平成26年度に実施予定であった海外での調査研究に関して、先方受け入れ機関および研究代表者の日程調整が不調に終わったため、出張を実施できない状況が生じた。しかし、予定の海外調査は本研究と密に関連する研究者との意見交換であり、本研究の遂行に不可欠であるため、他の費目に充当することなく確保していたためである。 第二に、研究遂行に必要な図書の刊行時期が遅れ、納品が年度内に間に合わないものが多数あったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
第一に、応募申請書類で申請したとおり、ヨーロッパおよび米国におけるそれぞれの受入機関と確実に連絡を取り、本研究課題の調査研究および資料収集のための研究出張を計画している。また、研究の遂行にあたり、適宜必要となる国内および海外への研究出張にも未使用額の配分を予定している。 第二に、研究遂行に必要な図書の購入を行うとともに、それらの調査研究を遂行するにあたって必要となる消耗品に未使用額を支出する予定である。
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