研究課題
近年、破骨細胞に試適圧縮力(メカニカルストレス)が付与されると分化促進することが報告されているが、その試適圧縮力が破骨細胞内のシグナル伝達経路をどのように変化させて分化を促進しているのかは不明である。そこで、試適圧縮力(メカニカルストレス)が破骨細胞への分化に対し、細胞内シグナル伝達経路にどのような影響を与えているか検討した。まず、破骨前駆細胞に試適圧縮力(メカニカルストレス)の付与方法を検討した。実験計画立案時にはスライドチャンバー内に細胞を播種し、シリコンチューブで注射筒を接続し、破骨前駆細胞に水圧によるメカニカルストレスの付与を試みる計画であった。しかし、水圧での付与ではチャンバーが変形するために圧を一定に保つことが難しく断念した。次に、カバーガラスを播種した細胞の上から0・1・3・5・7・9枚と静置し24時間培養を続けることで試適圧縮力の検討を行った。しかし、カバーガラスが培養液によって浮遊してしまい、思うように圧縮力をかけることが出来なかった。そのため、次に試適圧縮力を遠心力を付与することで細胞に一定の圧縮力をかける方法に変更した。圧縮力には、矯正歯科で歯の移動の際に一般的に付与される10g/cm2になるように回転数を設定し遠心力を付与した後に、一定時間細胞を培養後、RT-PCRでmRNAの発現を検討した。結果、試適圧縮力(メカニカルストレス)を付与することで分化を負に制御しているIRF-8のmRNAの発現に変化が生じ、細胞質中に遊離されるNFATc1が増加することが示唆された。これはRANKL添加によって生じる細胞内のシグナルがスムーズに伝達されやすくなると考えられる。つまり、メカニカルストレスを付与することで破骨細胞は分化しやすい細胞状態になると考えられる。
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Orthodontic Waves
巻: 41 ページ: 111-120