研究課題/領域番号 |
25870679
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
大久保 雄 埼玉医科大学, 保健医療学部, 助教 (40515558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腰筋 / ワイヤ筋電図 / MR拡散強調画像 / 運動療法 / 大腰筋エクササイズ |
研究実績の概要 |
【研究の目的】近年,リハビリテーションか介護予防において,大腰筋機能の重要性が報告されているが,大腰筋は体幹の最も深部に位置し活動評価が困難であるため,大腰筋強化に有効なエクササイズは明らかにされていない.そこで本研究では,ワイヤ筋電図およびMRIを用いて,大腰筋活動を定量的に評価し,大腰筋強化に有効なエクササイズを検討した. 【ワイヤ筋電実験】健常男性9名に対し,様々な大腰筋エクササイズを行わせた際の筋活動を収集した.L3/4高位の大腰筋に,超音波画像ガイド下のもとワイヤ電極を刺入し,刺入後電気刺激にて筋収縮を確認した.実験試技は,下肢伸展挙上(SLR),腹筋運動,スクワットとした.各試技中の大腰筋活動量を算出した結果,SLRでは挙上している最終相で33.0MVCと最も活動量が大きく,腹筋運動においても,起き上がりの最終相で19.5%MVCと活動量が大きかった.スクワットでも,重心が最も低くなっている肢位で大腰筋の活動量が大きかった.胃上の結果から,大腰筋は股関節屈曲角度が大きい肢位にて,活動量が大きくなることが示唆された. 【MRI実験】健常男性9名に対し,MR拡散強調画像を用いて5種類のエクササイズ(Elbow-toe, Elbow-knee, Hand-knee, Side bridge, Knee raise)を行った際の大腰筋活動を,ADC値により評価した.その結果,Elbow-toe(肘立て肢位)やKnee raise(椅子で股関節屈曲90度保持)で大腰筋の活動量が大きく,これらのエクササイズが大腰筋エクササイズに有効であることが示唆された. 【研究の意義】本結果より,大腰筋の活動動態や大腰筋強化に有効なエクササイズ法を明らかになり,臨床現場において大腰筋エクササイズを処方する際の有用な情報になると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,大腰筋活動をワイヤ筋電図およびMR拡散強調画像の2種法で評価することを目的としており,平成26年度では両者ともに9名のデータを収集することができた.また,本結果の一部を研究会(第3回早稲田体幹機能研究会)で発表することができ,進行はおおむね順調に進展していると考える. ただし,ワイヤ筋電図とMR拡散強調画像から得られた大腰筋活動の相関を検討し,MR拡散強調画像を用いた評価法の妥当性を未だ検討しておらず,今度実施する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本研究計画の一部である「MR拡散強調画像を用いた大腰筋活動評価の妥当性」を,ワイヤ筋電図とMR拡散強調画像から得られた大腰筋活動のデータを比較し検討する予定である.本結果からMRIを用いた大腰筋活動評価の妥当性が明らかになれば,今後侵襲的なワイヤ筋電図を用いずに,大腰筋の活動評価を実施することが可能になる. さらに,平成27年度では本研究成果を,学術誌や学会を通して公表していく予定である.既に,5月の第50回日本理学療法学術大会,6月の第42回国際腰椎学会(ISSLS in San Francisco)に演題が採択されている.さらに,学術誌に論文投稿し,研究成果を報告する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は,研究成果発表のため,国際学会・国内学会に参加し,その経費が必要になるため.さらに,本研究を国際誌に投稿する際,英文校正費や投稿費が必要になるため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度,既に第42回国際腰椎学会および第50回日本理学療法学術大会にて本研究成果を発表することが決定しており,その旅費および学会参加費として使用する.また,本成果は国際誌に投稿する予定であり,その英文校正費および投稿費に使用する.
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