研究実績の概要 |
【今までの研究成果と最終年度の研究目的】近年,リハビリテーションや介護予防において,大腰筋機能の重要性が報告されているが,大腰筋は体幹の最も深部に位置し活動評価が困難であるため,大腰筋強化に有効なエクササイズは明らかにされていない.そこで我々は,ワイヤ筋電図およびMR拡散強調画像(MR-DWI)を用いて,大腰筋強化に有効なエクササイズを明らかにし研究成果として報告してきた.最終年度では,MR-DWIおよびワイヤ筋電図にて計測された大腰筋活動量を比較し,MR-DWIを用いた大腰筋活動評価の妥当性を検証した. 【研究手法】健常男性7名を対象に,3つの体幹筋エクササイズ(Hand-knee, Elbow-knee, Elbow-toe)を行った際の大腰筋活動をワイヤ筋電図(%MVC)およびMR-DWI(ADC値)により評価し,両者の筋活動量をPearsonの積率相関係数rを用いて検討した.さらに,3つの体幹筋エクササイズ実施後のADC値を一元配置分散分析を用いて比較した. 【研究結果】ワイヤ筋電図およびMR-DWIから得られた筋活動量の相関係数r=0.50であり,有意な正の相関を認めた.また,3つのエクササイズ実施後のADC値変化率はHand-knee:0.52±3.22%,Elbow-knee:7.27±4.75%,Elbow-toe:14.61±3.46%であり,Elbow-toe,Elbow-knee,Hand-kneeの順で有意に大腰筋の活動量が大きかった. 【結論】本結果より,MR拡散強調画像を用いて,大腰筋の筋活動量を非侵襲的に推定することが可能であり,Elbow-toeは大腰筋を賦活させるために有効なエクササイズであることが示された.
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