研究実績の概要 |
平成 26 年度は、前年度に引き続き in vitro 脂肪肝形成モデルに対して顕著な抑制効果を示したいんげん豆抽出物中の生理活性成分を含む分画を得るための検討を行った。 クルードないんげん豆抽出物は、従来通り乾燥いんげん豆をミルで破砕し、含水エタノールで一晩静置した後、上清をフィルター濾過して調製した。この抽出物に含まれるエタノールをエバポレーターで留去後、前年度同様固相抽出による分画作製と限外濾過法によるペプチド成分の分画作製を行った。 固相抽出ではでコンディショニングしたカートリッジにいんげん豆抽出物を添加し、蒸留水で洗浄した洗浄液を水抽出物として分取した。複数の有機溶媒それぞれを 10%, 30%, 60%, 90% の抽出液にて溶出した分画を濾過滅菌した。これらと別に限外濾過法では 3,000, 5000, 10,000, 30,000 kDa カットオフの各カートリッジでペプチドの分画を分子量ごとに細かく抽出した分画を濾過滅菌した。 各分画における脂肪肝形成に対する改善効果の評価は、ヒト初代培養肝細胞を用いた in vitro 脂肪肝形成モデルを用いた。すなわち、ヒト初代培養肝細胞に、高濃度長鎖脂肪酸を添加するのと同時に各分画を添加し、24 時間後に Oil Red O 染色して細胞内への脂肪滴蓄積の程度を形態学的に評価した。また別に各処置を行った細胞を Oil Red O 染色した後、 100% イソプロパノールで色素抽出して吸光度 (測定波長 490nm) を測定し、その数値の減少を脂肪滴の減少の指標として、脂肪滴蓄積の程度を併せて評価した。また顕著な脂肪滴蓄積抑制効果が認められた分画に関しては、脂質抽出を行い細胞内脂質濃度 (中性脂肪、コレステロールなど) の測定を行った。その結果、固相抽出により得た分画において改善効果が認められたものがいくつかあり、細胞内脂質濃度も低下していた。
|