平成27年度は、研究目的に関わる実践として、大学生を学校支援ボランティアとして16名小学校に派遣し、1年間のボランティア活動をサポートする実践を行った。昨年度同様、区の教育委員会と連携し、学生と学校のマッチングを行い、5月中旬から活動が開始された。活用校に対する説明とボランティアの対する授業は、昨年度と同様に行った。その結果、16名全員が、1年間のボランティア活動を継続し、3月に終了となった。 上述の研究実践の中で、本研究の研究目的Ⅲのボランティア活動継続に影響を与える要因の検討について実施した。13名のボランティア活動経験者に半構造化面接を行い、得られたデータを修正版グラウンデッドアプローチで分析した。当初の計画では、質問紙による量的なデータ分析を計画していたが、研究内容の性格上、質的なデータ分析の方が適していると判断し、方法を変更した。分析の結果、受け入れる学校側と送り出す大学側におけるボランティア活動を支える要因が、明らかとなった。この結果と研究Ⅰ・Ⅱの結果を踏まえ、研究Ⅳの大学生による学校支援ボランティアの効果的なシステムや研修プログラムの仮説モデルをまとめた。 これらの結果を、学校教育学会のシンポジウムにおいて「学校教育に『心理』が入ることで生まれる多様性-大学生による学校支援ボランティア活動の報告から-」というテーマで、学校支援ボランティアが学校現場に入ることで生じる効果・変化について発表・討論を行った。また教育心理学会のシンポジウムにおいては「大学生によるピアサポートプログラム-小学校における学校支援ボランティアの実践-」というテーマで、学校支援ボランティアが学校内で果たしうる役割や効果について発表・討論を行った。また、研究Ⅲ・Ⅳで得られた結果を論文としてまとめ、学会誌に投稿中である。
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