研究課題/領域番号 |
25870686
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
永井 崇 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (40533633)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 白金族金属 / リサイクル / ペロブスカイト |
研究実績の概要 |
昨年度に引続き、様々なペロブスカイト型酸化物(ABO3)の白金(Pt)酸化物, パラジウム(Pr)酸化物の吸蔵特性について調査した。本年度は、加えてロジウム(Rh)酸化物の吸蔵特性についても調査し、Pt酸化物を吸蔵しやすいペロブスカイト型酸化物とRh酸化物を吸蔵しやすいものを発見した。 また、Pt酸化物の吸蔵量を増加させるため、ペロブスカイト型酸化物の組成と吸蔵量の関係について調査し、ペロブスカイト型酸化物の白金族金属酸化物吸蔵のメカニズムについて検討した。ペロブスカイト型酸化物のAサイトまたはBサイトの元素を不足させた試料(A0.95BO3, AB0.95O3など)にPt酸化物を吸蔵させた場合、Bサイトの元素を減じた試料は、化学量論組成で作製した試料に比べ、Pt酸化物の吸蔵量が増加する傾向があった。また、Aサイトの元素を減じた試料では、Pt酸化物の吸蔵量は著しく低下する結果となった。したがって、ペロブスカイト型酸化物のBサイトに白金族金属酸化物が吸蔵されると考えられる。 また、ペロブスカイト型酸化物に適当な添加元素を加えることで、白金族金属酸化物の吸蔵量が増大することを発見した。BaCeO3にPt酸化物を吸蔵させた場合、Baを他の元素で一部置換した試料は、化学量論組成で作製したBaCeO3と比較してPt酸化物の吸蔵量にほとんど変化は見られなかった。Ceを他の元素で一部置換した試料は、Pt酸化物の吸蔵量が増加する傾向が見られた。したがって、適切な元素で、ペロブスカイト型酸化物のBサイトの元素を置換することで、白金属酸化物の吸蔵量を増大させることが可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、Pt酸化物,Pd酸化物,Rh酸化物をそれぞれ別々のペロブスカイト型酸化物に吸蔵させ、自動車排ガス触媒から白金族金属を回収することと同時に、Pt, Pd, Rhを分離可能なリサイクル方法を開発することである。このためには、Pt酸化物のみを吸蔵するペロブスカイト型酸化物,Pd酸化物のみを吸蔵するペロブスカイト型酸化物およびRh酸化物のみを吸蔵するペロブスカイト型酸化物を発見することが非常に重要である。昨年度までの研究により、ペロブスカイト型酸化物によって、各白金族金属酸化物の吸蔵特性に特徴があること分かり、Pt酸化物を吸蔵しやすいペロブスカイト型酸化物とRh酸化物を吸蔵しやすいものを発見した。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引続き、各種ペロブスカイト型酸化物の白金族金属酸化物の吸蔵特性を調査して、Pdを吸蔵しやすいペロブスカイト型酸化物を探す。また、白金族金属の分離に利用可能なペロブスカイト型酸化物については、各種白金族金属酸化物の吸蔵特性を向上させ、白金族金属酸化物の吸蔵量を増加させる手法について検討を進める。 また、Pt-Pd-Rhの混合物や廃自動車排ガス触媒からの白金族金属の分離・回収について研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
貴金属試料の板材は、洗浄,研磨の後、繰り返し試料として使用しているが、想定より、貴金属試料の損耗が少なかったため、少ない試料で実験を実施することが可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
化学分析が難しい難溶性の試料を溶解するための、強力な酸などに対応するための器具を購入し、難溶性の試料についても利用可能であるか検討する。
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