長野県社会部厚生課長であった原崎秀司は,ホームヘルプ事業の先覚者としてのみならず,全日本方面委員連盟書記として方面事業にも精通しており,この経験が欧米視察後の成果につながったことは注目される.原崎直筆の日誌などの第一次資料を分析すると、彼が真の豊かさを政治・経済・思想の強化に求めたこと、欠陥の克服こそが社会改変につながること、現場視察や調査を繰り返し、実情把握に努めたこと、映像や音声に依拠したメディアの活用により人々の意識を啓発したことなどの知見を得た.ホームヘルプ事業創設以前から見られた彼の現場主義という姿勢から、人に触れ問題意識をもちつつ得られた見識や経験がその後の新事業化に反映された。
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