研究課題/領域番号 |
25870706
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松井 秀仁 北里大学, 付置研究所, 研究員 (80503797)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Streptococcus agalactiae / GBS / イムノクロマト / 迅速診断 / モノクローナル抗体 |
研究概要 |
Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus; GBS)は、新生児に肺炎や敗血症、髄膜炎などの重篤な感染症を惹起する病原菌である。現在、出産時の垂直感染を予防する為に、妊娠35-37 週にGBS スクリーニング検査を実施すること推奨されている。本研究では、イムノクロマト法を応用した、GBS簡易迅速診断方法を確立し、臨床応用可能な診断方法を確立することを目的としている。 今年度は、(i)標的抗原の作製、(ii)モノクローナル抗体の作製、(iii)イムノクロマトの確立について実施した。GBS検出イムノクロマトの標的抗原としては、表層タンパクであるSurface immunogenic protein(Sip)を選択した。まず、recombinant Sipの大腸菌による発現系を構築するため、PCR法でsip遺伝子を増幅し、発現ベクターを作製した。IPTGでタンパク発現を誘導し、Ni-IMACで精製することで、約53kDaのrSipを得た。このrSipを抗原としてマウスに免疫し、モノクローナル抗体の作製を行った。得られたモノクローナル抗体を用いて、イムノクロマトに最適な抗体の組み合わせ及び作製条件を検討し、GBS検出イムノクロマトを確立した。確立したイムノクロマトの基礎的性能評価として、9種の異なる血清型を有するGBS株を用いて、反応性を評価した結果、全て陽性反応を示した。また、他菌種26株を用いて交差反応性を評価した結果、偽陽性反応は認められず高い特異性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究項目として計画していた、(i)GBS特異抗原の調製、(ii)モノクローナル抗体の作製と性能評価、(iii)イムノクロマト系の構築はすべて達成されたことから、本研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
抗Sipモノクローナル抗体を用いたGBS検出イムノクロマトを構築したので、その性能評価を進める。まず、臨床分離GBS株を収集し、本法に対する反応性を評価するとともに、sip遺伝子の多型について解析を行う。また、膣スワブ検体を用いた評価を実施し、臨床応用への可能性について検討を実施する。さらに確立した本法をモデルとして、高感度検出系の確立に向けた検討を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
モノクローナル抗体の作製は完了したが、最終的にイムノクロマト法開発に用いた抗体のエピトープ解析が完了していない。その為、解析に必要な合成ペプチドなどに使用予定であった予算については、次年度に繰り越した。 次年度は、確立したイムノクロマト法の評価として、検体を用いた試験を実施予定である。その為の、イムノクロマト作製費用、各種微生物用培地、分離菌株同定の為の試薬などが必要となる。また、臨床分離GBS株を収集し、sip遺伝子の解析を実施予定であるので、シークエンス解析費用が必要となる。さらに樹立したモノクローナル抗体のエピトープ解析を行う為の合成ペプチド作製費用など主に消耗品に使用する。その他に、学会参加の為の旅費などを予定している。
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