研究実績の概要 |
Group B Streptococcus (GBS, Streptococcus agalactiae) は、重篤な新生児感染症を引き起こす原因菌である。日本においては、妊娠33~37週に膣内のGBSスクリーニング検査を実施することが推奨されている。GBSスクリーニング検査は、主に培養法で行われることから、結果が得られるまで数日の時間を必要とする。そこで、本研究では、GBS特異的なSurface immunogenic protein(Sip)を標的とした、イムノクロマト法による簡易迅速診断方法の確立を目指した。標的抗原のrecombinant Sipを大腸菌発現系を用いて作製し、それらrSipおよび合成ペプチドを抗原としてモノクローナル抗体の作製を行った。得られた抗体の特異性を評価し、イムノクロマト法に最適な抗体の組み合わせを検討した。確立したイムノクロマトは、簡便な前処理方法で試験が可能であり、約15分で結果を得ることが可能となった。本法の最小検出感度を評価した結果rSipで0.5 ng/ml、GBS菌体では106 CFU/mlであった。さらに、交差反応性試験を26菌種を用いて実施した結果、偽陽性反応は全く認められなかった。また、臨床応用の可能性を評価、検討するため、膣スワブ検体の増菌培養サンプルからのGBS検出について、イムノクロマト法と通常の培養法と比較を行った。その結果、260検体を用いた結果を解析すると、イムノクロマトの感度、特異度はそれぞれ93.1%, 99.6%であった。以上の結果より、新たに確立したGBS検出イムノクロマトは、臨床現場で応用可能な性能を有していることが示された。
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