研究課題/領域番号 |
25870711
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安道 知寛 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 准教授 (40407135)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 市場不均衡 / 大規模データ |
研究実績の概要 |
情報技術の飛躍的な発達の恩恵を受け、膨大かつ多様な市場データが収集・蓄積されている。現在、そのようなビッグデータの分析に対し、学術・実務の両面から注目が集まっている。本研究の目的は、大規模な情報が観測・蓄積されている経済市場、特にオンラインプラットフォーム市場に焦点を当て、①その分析のための新しい需要・供給均衡分析モデルの導入、②市場の需要・供給間の相互依存性などを考慮したその推定法の構築、及びパラメータ推定量に関する漸近理論の確立、③企業の価格戦略・顧客獲得戦略等を計量的に検討し、実際の大規模データに基づき実証分析をおこなうことにある。 2年目となる本年度は、昨年度に引き続き、分析のための新しい需要・供給均衡分析モデリングについての検討を引き続きおこなった。一般に、市場の供給が需要に等しい場合、均衡状態にあると考える。しかし、オンラインプラットフォーム市場では供給の最大量が固定され、それは市場の不均衡につながっている場合が頻繁に観測される。本年度も、不平衡状態にある市場の推定に関する従来の研究を参考にしつつ、市場の不平衡を考慮した新しい計量モデリングについて検討した。 また、導入した新しい需要・供給均衡分析モデルに基づき、オンラインプラットフォーム市場の実証分析をおこなった。昨年度において、最尤推定法によるモデル推定、推定されたパラメータの一致性、漸近正規性を導出していたので、その結果を実証分析に利用した。その結果、新たな知見を得、その結果は、国際会議の論文として採択され、口頭発表もおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画は、1:関連する既存研究の整理、2:新しい需給均衡分析モデルの導入、3:市場の需要・供給間の相互依存性などを考慮したモデル推定法の構築、及びパラメータの一致性、漸近正規性などの理論的検討、4:数値実験による構築した理論の検証、5:実証分析、6:国際会議などでの研究成果発表などからなる。昨年度は、上記項目1~3を推進したが、本年度は、上記項目4~6を中心に研究を推進した。特に、大規模な情報が観測・蓄積されている経済市場に焦点を当て、その分析のための新しい需要・供給均衡分析モデルに基づき実証分析をおこない、新たな知見を得た。以上の理由から、研究は順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スパースな構造を導入したモデルへと拡張し、数値実験による構築した理論の検証、実証分析、国際会議などでの研究成果発表、論文執筆を推進していきたい。特に、構築した推定量の理論的性質が有効に機能することを確認するために、数値実験を通してさらに検証を行いたい。また、実際に観測・蓄積された大規模情報の分析をおこない、拡張したモデリング手法について検討していきたい。一連の研究成果は、国内外の国際会議等で発表して広く意見を求めて研究を発展させると共に、論文投稿をおこないたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張旅費が計画より安くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の海外出張費に使用予定である。
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