研究課題/領域番号 |
25870715
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
畔上 達彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60573376)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アンジオテンシン / 高血圧 / ワクチン |
研究実績の概要 |
本研究はアンジオテンシンII 1型受容体(AT1)に対する経口・経鼻投与型ワクチンの作成を目的とし、平成25年度にワクチン抗原を作成し、平成26年度にワクチンの高血圧に対する効果を検討する予定であった。 経口型AT1ワクチンに関しては、AT1の166-192 a.a 配列とコレラ毒素Bサブユニット(CTB)とのキメラ蛋白を形成するように遺伝子を合成し、得られた遺伝子をコメの蛋白貯蔵器官であるProtein Body特異的なプロモーターを有するベクターに挿入した。このベクターをアグロバクテリウムを用いて、イネ種子に導入した。遺伝子組換えイネを4-5世代交配・継代し、遺伝的にhomogenousになるようにした。得られたコメ種子の一部をWestern Blottingにより評価し、AT1-CTBキメラ蛋白であることを確認した。このキメラ蛋白が抗原性を有するかどうかを確認するため、現在、まずは皮下注射により抗体が誘導されるかどうかを検討中である。 経鼻型AT1ワクチンに関しては、平成25年度に引き続き、平成26年度も抗原の作成に取り組んだ。AT1の166-192 a.a 配列に別の蛋白を組み合わせたキメラ蛋白の合成を試みている。HBs(B型肝炎ウイルス表面抗原)などのウイルス由来の蛋白では、大腸菌あるいは昆虫細胞を用いた系では合成がうまくできないため、細菌由来の蛋白に標的を絞ってキメラ蛋白の合成に取り組んでいる。いくつか候補となるキメラ蛋白の合成・精製ができたので、今後、まずは皮下注射にて免疫原性を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成26年度において、ワクチンの高血圧に対する効果を評価する予定であった。経口ワクチンに関しては、遺伝的にhomogenousとなるまで、4-5世代継代しなければならず、1世代あたりに数カ月の時間を要するため(イネを収穫し、得られたコメを発芽させイネとなるまで育てる)、効果を検討する実験を行うまでに時間がかかった。また、経鼻ワクチンに関しては、免疫原性を有するキメラ蛋白の作成に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
経口型AT1ワクチンにおいては、現在、皮下注射によりラットでの免疫原性(抗体価が誘導されるか)と降圧効果を確認している最中である。効果が得られれば、実際に経口投与を行い、最適となる条件(投与回数、間隔、投与量など)を検討したい。 経鼻型AT1においては、新たに精製したキメラ蛋白を、皮下注射にてまずはラットでの免疫原性(抗体価が誘導されるか)と降圧効果を確認する予定である。経口型ワクチンと同様に経鼻ワクチンも効果が得られれば、経鼻投与での最適となる条件を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していたワクチンの効果を検討する実験がやや遅れているため、26年度の研究費に未使用が生じたが、27年度に行う予定の研究計画と併せて実施する予定である。
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