研究課題/領域番号 |
25870716
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
依田 聡 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30468491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | miR-375 / Claudin-1 / 肺癌 / 標的遺伝子 |
研究概要 |
前年度までに、肺扁平上皮癌由来細胞の SK-MES-1 において、miR-375 の過剰発現で浸潤能が促進されていることを発見しており、miR-375 の標的遺伝子として Claudin-1 に注目するに至っていた。 そこで、SK-MES-1 において、claudin-1 のノックダウンにより浸潤能が増強するか否かを確認したが、有意な差が得られなかった。一方で、miR-375 の過剰発現によって、Claudin-1 の発現が抑制されること、miR-375 の発現抑制によって、Claudin-1 の発現が増加することを、RNA レベル、蛋白レベルで確認することに成功した。 続いて、Claudin-1 が miR-375 の直接の標的遺伝子となっているかを、reporter assay を用いて証明するため、Luciferase reporter vector に Claudin-1 の 3'UTR を組み込み、さらに、miR-375 の標的サイトに遺伝子変異を導入した vector を作成した。これらの vector と miR-375 precursor を肺癌細胞株で共発現させ、Claudin-1 の 3'UTR を組み込んだ vector で、miR-375 過剰発現によって、Luciferase 活性が低下することを証明した。さらに、その抑制が miR-375 の標的サイトの遺伝子変異で解除されることを証明した。 以上より、浸潤能の促進との関連は未証明だが、Claudi-1 が miR-375 の新規標的遺伝子であることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-375 の発現変化によるClaudin-1の発現の変化は十分に証明できたが、miR-375 過剰発現による浸潤能の促進と同様の変化が、Claudin-1 のノックダウンによっては起こることは証明できなかった。一方で、平成26年度に行うことを予定していた Luciferase reporter assay を前倒しで行い、成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
細胞レベルでの Wound healing assay および Modified Boyden chamber で、miR-375 過剰発現による浸潤能の促進を示すことをおこなったが、同様の変化が、Claudi-1 のノックダウンで起こらなかったことで、miR-375 が Claudin-1 を標的として、浸潤能を促進するという論理の証明が不十分な状態である。現在、他の肺癌細胞株での結果を積み重ねている。マウスを用いた Xenograft transplantation model で、in vivo で miR-375 が浸潤、転移能を促進させるかを検証する予定であるが、前述の細胞レベルでの結果を持って、行うことが妥当かを再検討する。細胞レベルでの結果が、動物実験に進むには不十分と判断されたとしても、Claudi-1 が miR-375 の新規標的遺伝子であることの証明はできており、成果の報告につなげる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
miR-375 の発現変化による遺伝子発現の検討に関しては、順調に成果が得られ、予定より少ない費用で完遂できたため。また、学会出張が平成26年4月の米国癌学会となったため、出張にかかる費用が平成26年度に移行したため。 平成25年度に予定していた miR-375 の発現変化、Claudin-1 のノックダウンによる細胞形質変化の検討に関しては中途であり、他の肺癌細胞株も用いて、平成26年度も引き続き行っていく予定である。また、マウスを用いた Xenograft transplantation model で、in vivo で miR-375 が浸潤、転移能を促進させるかを検証する予定であるが、細胞レベルでの結果を持って、行うことが妥当かを再検討する。細胞レベルでの結果が、動物実験に進むには不十分と判断されたとしても、Claudi-1 が miR-375 の新規標的遺伝子であることの証明はできており、成果の報告につなげる予定である。
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