研究課題/領域番号 |
25870717
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
玉田 真由美 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (80528133)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | pyruvate kinase M2 / グルコース代謝 / 好気性解糖 / ミトコンドリア呼吸 / 代謝変動 |
研究概要 |
好気性解糖(Warburg effect)は癌特有の代謝であり、癌細胞増殖に優位な状況を作り出す。解糖系酵素の1つであるpyruvate kinaseのisoformの1つであり、癌細胞で高発現するpyruvate kinase M2(PKM2)の酵素活性を低く維持することが、癌細胞において、好気性解糖を促進する重要な要因であることが近年報告され、注目をあびてきた。 そこで我々は、PKM2酵素活性を上昇させることで解糖系の使用を抑制し、正常細胞が主として使用しているミトコンドリア呼吸側へ代謝変動を誘導することにより、癌細胞増殖抑制効果を示す可能性のある薬剤を見出すことを目標として研究を行った。 癌細胞を解糖系がより亢進する環境下で培養した際、培地内の糖が欠乏すると、細胞が縮みを起こすことを見出した。また癌細胞の糖消費が抑制される条件下では、培地内の糖が欠乏するまでの時間が延長し、細胞変化(縮み)の起きる時間が遅延したことから、この流れを利用して、当研究室が保有している既存薬ライブラリーのスクリーニングを行った(1次スクリーニング)。しかし、このスクリーニング法では糖消費以外の因子の影響も否定できなかったため、次に、1次スクリーニングで候補にあがった薬剤を使用し、癌細胞糖消費量の測定を行った。 両実験から、糖消費抑制を起こす可能性のある候補薬剤が上がったものの、その差が顕著ではなかったため、現在、候補薬剤については、同様の実験を繰り返し、再現性が得られるかどうか確認を行っている最中である。 更に、pyruvate kinase M2(PKM2)の酵素活性に関わるチロシン残基のリン酸化についても、現在ウエスタンブロットにて評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1次スクリーニングの際、その差が顕著ではなかったため、再現性を重要視し、実験を繰り返し行っている。そのため計画当初よりもスクリーニングに時間を要しており、実験計画はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
一次スクリーニングで候補にあがった薬剤を使用し、二次スクリーニングとして、乳酸値測定や、ミトコンドリア由来活性酸素測定、オリゴマイシン(ミトコンドリアATP合成阻害薬)感受性を測定し、好気性解糖からミトコンドリア呼吸へ代謝変動を促す薬剤を見出す。さらに、実際の代謝経路にどのような変化を起こすのか明らかにするため、メタボローム解析を行う。
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