研究課題/領域番号 |
25870724
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
加藤 久子 國學院大學, その他部局等, 研究員 (10646285)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カトリック教会 / 政教関係 / 民主化 / 現代史 / ホロコースト / 記憶 / ユダヤ人 / ポーランド |
研究実績の概要 |
本研究は、ポーランドを事例とし、「民主化の第三の波」と呼ばれる南米、南欧、東欧の体制移行と宗教(特にカトリック教会)の関係を明らかにすることを目的としている。本年度は主に、1. 教皇ヨハネ・パウロ2世の即位と祖国訪問が、社会主義期ポーランドの党や政府、教会ヒエラルキー、社会全般に与えた影響について分析を行った。また、それに関連し、2. アウシュヴィッツ強制収容所で他者の身代わりとなり処刑された聖コルベ神父に関する集合的記憶と表象についての分析、3. 戦後ポーランドにおけるホロコーストに関する政治家の発言や歴史観の変容に関する分析、文献研究を行った。 1. について、2014年2~3月に収集した資料を分析し、1978年の教皇ヨハネ・パウロ2世の即位から1979年の同教皇による祖国ポーランド訪問に至るまで、党・政府と教会の間で交わされた交渉や駆け引き、また、訪問が決定してからの準備のための協働、これらのことがポーランド社会に与えた影響について考察した。成果はブックレット形式の書籍(単著)として刊行した。 2.について、1. の作業中に発掘したコルベ神父に関する史料を整理しつつ、予備調査としてコルベ神父の日本滞在期間の史料を読み進めた。本年度分の成果として、第二次世界大戦前夜の日本人外交官とカトリック聖職者の交友について、小論文にまとめた。 3.について、ポーランド人にとってのアウシュヴィッツ強制収容所の記憶という観点から、戦後ポーランドの政治家によるホロコーストに関する発言や研究者による叙述の変遷の軌跡を辿りながら、そのイデオロギー的背景を分析し、ロシア・東欧学会の研究大会にて口頭報告を行った。
その他、アウトリーチ活動として、宗教学の教科書の項目(「観光と宗教」)を執筆したほか、過激派組織「イスラム国」に関連してヨーロッパで生じている社会問題について解説記事を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の入手状況や現地調査の日程調整などの関係で、多少のスケジュールの入れ替えはあるものの、予定していた調査及びその成果の発表について、概ね計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、本年度の調査において収集した史料の読解を中心に、予定通り、実証的な研究を継続する。 予定外に入手した重要資料を次年度以降の研究に反映させるため、研究成果を投稿する時期については調整を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査が3月となり、現地でクレジットカードなどで立て替え払いした書籍代、複写費用等の金額(日本円換算)が年度内に確定しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
4月に調査費用(日本円換算)が確定次第、精算が行われる。
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