研究課題/領域番号 |
25870725
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
藤井 淳 駒澤大学, 仏教学部, 講師 (00610726)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 三教不斉論 / 空海 / 三教交渉 |
研究概要 |
本研究は三教交渉関係の文献をテキストデータ化して公表し、三教交渉の思想史的な考察を目指すものである。 当該年度においては中国仏教を専攻する駒澤大学大学院生などの協力を得て三教交渉文献および『三教指帰』の諸注釈および『伝法記』のテキストデータ入力作業を行った。データは真言宗全書や刊行された本に基づいた。駒澤大学図書館所蔵の刊本(運敞『三教指帰註刪補』)を初め、『三教指帰』の諸注釈は日本の注釈書であるがかつて中国に存した貴重な逸文が多く含まれるものであり、日本国内の研究者をのみ対象にするのではなく、世界的に広く知られるべき資料として紹介し、これらの文献をも含めて日本の注釈の伝統について考察した上で成果を公表していくのを目的としている。 当該年度においては日本の若手中国学研究者の協力を得ながら姚[ベン]『三教不斉論』に対して訳注を作成するために、日本印度学仏教学会の共同パネル発表に合わせて、研究担当者の『三教不斉論』発見の意義を踏まえ、研究会を開催した。 『三教指帰』注釈書のテキストデータとしての集成は、注釈書が多種類にわたるために本研究期間中に全てを行うことはできないが、基本的な注釈として定評のある『三教勘注抄』巻第一・二(敦光・真言宗全書四十所収)『三教指帰註刪補』(運敞・真言宗全書四十所収・駒澤大学図書館刊本所蔵)『三教指帰注集』(影印・翻刻公刊)などを中心に先行させて入力作業を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
三教交渉文献・『三教指帰』注釈書を真言宗全書や刊行された図書・雑誌からABBYY FineReaderなどのOCR自動認識機能を用いて一旦テキストデータ化したものを原本にあたって訂正する作業を行った。資料の刊行が大正年間であったり、難漢字が用いられたり、返り点等がつけられているなど、OCR機能を利用する際に必ずしも適した資料ではなかったが、一から入力するよりは早くテキストデータ化することが可能となった。 学期中に定期的に集まって確認作業を行い、作業自体は学期中を通じて行ったが入力が大学院生の休暇スケジュール等の関係で後半に集中したため、出典の確認やインターネットでの公開作業は作業を検討したが次年度に作業を行う予定である。 また研究者が発見した『三教不斉論』訳注研究についての研究会を中国学の若手研究者とともに9月と3月に実施し、9月にはその成果の一部を共同パネルで日本印度学仏教学会にて発表するなど、おおむね順調に進行していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度のテキストデータの入力を継続するとともに、それらをもとに、東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所特任研究員の松田訓典氏や駒澤大学の石井公成教授よりコンピューターに関する知識の提供を受けながら、打ち込んだテキストデータをオンライン上でポイントを合わせることで出典など注釈を一覧で見ることができるように開発を進める。 平成26年度には京都大学人文科学研究所の船山徹教授と合同で中国宗教文献に関する国際シンポジウムを開催し、応募者は本研究費によりアジア・欧米より中国学の研究者を招聘する予定である。 研究成果を公表するため、2014年8月にウィーン大学で開催される第17回国際仏教研究学会(IABS、XVIIth Congress of the International Association of Buddhist Studies)に出席する予定である。
|